いったい中国や北の脅威を感じているのか…野党に欠く安保共通認識 駒沢大学名誉教授・西修



2016.2.28 12:10更新
【正論】
いったい中国や北の脅威を感じているのか…野党に欠く安保共通認識 駒沢大学名誉教授・西修

http://www.sankei.com/column/news/160224/clm1602240005-n1.html
西修

駒沢大学名誉教授の西修氏 
 今月19日、民主、維新、共産、社民、生活の党の5党が共同で、安全保障関連法の廃止法案を提出した。共同提案に際して、5党間で憲法違反の同法を廃止に追い込み、安倍晋三政権の打倒を目指し、夏の参議院選挙での共闘を確認したという。
 私が率直に疑問に感じるのは、いったいこれらの政党は、わが国周辺で展開されている中国や北朝鮮の軍事的脅威をいかに感じているかということである。

国民の不安裏付ける世論調査

 中国は、南沙諸島で7つの岩礁の埋め立て工事を完了し、そのうちの1つの人工島では今年1月、3千メートル級の滑走路で試験飛行が行われた。西沙諸島の永興(ウッディー)島では、このほど地対空ミサイルの配備が明らかになった。
 そして沖縄県・尖閣諸島には、今月だけでも、8日間(延べ21隻)接続水域に侵入し、また2日間(延べ5隻)にわたり領海を侵犯している(22日現在、海上保安庁調べ)。
 北朝鮮は今年1月6日、4回目の核実験を行い、また今月7日、国際社会の度重なる非難を無視して、南方に向け弾道ミサイルを発射した。今後もこれらの実験を続行すると述べ、挑発行為を繰り返している。
このような状況を直視すれば、わが国の安全保障法制に万全を期すべきは当然である。同盟国の米国との絆を強め、抑止効果を高めなければならない。5 党のなかには、自衛隊も日米安保条約も憲法違反であるとみなしてきている政党があるが、わが国の安全保障に関して、どんな共通認識があるのだろうか。
  平成27(2015)年1月に実施された内閣府の世論調査では、「日本が戦争に巻き込まれる危険がある」が75・5%で、「危険がない」(19・8%)を はるかに上回っている。そして関心のある要素として、「中国の軍事力の近代化」が60・5%、「朝鮮半島」が52・7%という高い数値が示されている。
 同じ調査で、「日本を守るための方法」として、「現状通り、日米安保体制と自衛隊で」が84・6%、「日米安保条約をやめて自衛隊だけで」が6・6%、「日米安保条約をやめて自衛隊を縮小または廃止して」が2・6%となっている。

米国への依存か自衛権発動か

  国民の多くの不安とあるべき安全保障体制を的確に示しているといえよう。問題は、日米安保体制の中身をどのように充実させるかである。従来通り、わが国周 辺の安全をめぐる武力の行使を米国の軍隊だけに依存するのか、あるいはわが国の安全と密接にかかわる場合には、米軍とともに、自衛権の発動として、武力を 行使するのか、という選択肢になる。
安全保障法制は、(1)わが国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃により、わが国の存立が脅 かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険のある場合において、(2)これを排除し、わが国の存立を全うし、国民を守る ために他に適当な手段がないときに、(3)必要最小限度の実力を行使すること-という新3要件を基礎にしている。
 いわゆる限定的な集団的 自衛権であるが、憲法がこのような自衛権の行使まで禁じているとは読み取れない。政府は従来、「必要最小限度の自衛権の行使」を肯定してきており、その 「必要最小限度」の範囲に、限定的な集団的自衛権を当てはめたにすぎない。憲法解釈の根幹にかかわる解釈の変更とは思われない。

憲法の任務は平和と安全の保全

  北朝鮮の弾道ミサイル発射に際して、日米のイージス艦が連携を密にして活動している折に、米国のイージス艦が武力攻撃を受けたら、要請に応じ、わが国の イージス艦が米国のイージス艦の防衛に当たるべきは、当然である。「集団的自衛権の行使に当たるからできない」ということは許されないだろう。
政府の最大の任務は、国の平和と国民の安全を保全することにある。憲法もその任務を担うのは当たり前だ。それが、立憲主義の前提である。憲法が国の平和と国民の安全を保持できないとすれば、憲法の名に値しない。
  民主党と維新の党は、安全保障関連法の廃止法案提出の前日、領域警備法案、周辺事態法改正案、および国連平和維持活動(PKO)法改正案を共同で提出し た。 しかし、例えば領域警備法案にあって、あらかじめ領域警備区域を指定するなど、戦略的に危惧があることは否めず、また周辺事態法改正案では、限定的 であっても一切の集団的自衛権を認めないなど、真にわが国の安全保障にふさわしいか、基本的な問題点がある。改めて今国会で議論すべき内容になっていると は思われない。
 3月29日から施行される安全保障法制の運用状況を見定めて、修正すべきは修正していくことが、最も現実的な対処方法といえるのではなかろうか。(にし おさむ)


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