戦時国際法について



戦時国際法を検索するとすぐさまこの論文にたどり着いた。

毒ガスと言う兵器について、または、核保有について戦時法規はかく解釈するものと言う例である。

左翼は直ぐに話し合いと外交でと言うが、結論は軍事力の背景なしでは、無視されるだけである。


2011.02.03 (木)
「 日本こそ認識せよ、国際法の厳格さ 」
http://yoshiko-sakurai.jp/2011/02/03/2401
『週刊新潮』 2011年2月3日号
日本ルネッサンス 第446回

過日、日本の国防体制の問題点について元外交官で国際的視点から国防問題を研究してきた色摩力夫(しかまりきお)氏の意見を聞いた。興味深かったことのひとつが国際法と国内法の比較と相違だった。
国際法に平時国際法と戦時国際法の2つがあるのは周知のとおりだ。また、一旦批准すれば、全ての国際法は憲法と国内法の間に位置づけられる。憲法は その国の根本的価値観であるために、如何なる場合も国際法や条約より優先されるが、国際法及び条約と国内法が異なる場合、前者が優先され、国内法は改正を 求められるということだ。
国内法はいきなりどこかから生まれてきたものではなく、その国の人々の生き方や暮し方を基本にして作られたもので、いわばその国の価値観である。国際法や条約は、そのような社会の基本を変えてしまうこともある。注意深い吟味が必要なゆえんである。
国際法の解釈は、「疑わしきは主権(国家)に有利に」が大原則で、特に戦時法規については論理的に狭く狭く解釈することが求められるのがもうひとつの特徴だという。
例として、毒ガスの使用を禁止した議定書がある。これは1925年に成立し、28年に発効した。しかし、人類はそれより21年前の1907年、すでにハーグ陸戦法規第23条禁止事項でこう定めた--「毒、または毒を施したる兵器を使用すること」。
色摩氏が説明した。
「たしかに毒を施した兵器の使用を禁止しているのですが、かといって第23条が毒ガスそのものを禁止することにならないのが国際法です。その証拠 に、国際社会はみな、毒ガスの使用は禁止されないと解釈し、その解釈に異議を唱えた国は一国もありませんでした。毒ガスの使用を禁止するためには別の国際 法が必要だったのです。それが1925年の法律です」

性善説は世界に通用しない

つまり国際法では、具体的に書かれているとおりのことを、それも出来るだけ狭く解釈しなけれ ばならないということだ。鳩山由紀夫氏や仙谷由人氏に代表される「世界は善意で成り立っており、日本さえ善意で対応すれば、戦争や悲劇は回避出来る」とい う類の性善説は世界に通用しない。むしろ国際社会は、隙あらば自国の勢力を拡大したい、他国の安寧や権益を侵してでも、自国の欲望を満たしたいと考える 国々で満ちている。だからこそ、国際法も条約も安易な類推解釈は危険であり、許されない。
ここで疑問が生ずるはずだ。人類は1925年に毒ガス使用禁止の議定書に合意したにも拘わらず、なぜ未だに幾つかの国は公然と毒ガスを保有し、生産しているのかと。再び色摩氏が語る。
「戦時法規には復仇(reprisal)という法理があります。これによって、敵方が戦時法規に違反した場合、敵が行ったのと同じこと、或いはそれ と同等の戦時法規違反行為を公然と行う権利が生じるのです。毒ガスが使用禁止になってもう80年以上経つのに、諸国が毒ガス生産をいまも続けているのは、 万が一の場合、リプライザルに用いるからです」
毒ガス使用禁止をめぐる国際法と諸国の対応は、核兵器にも当てはまる。人類が核兵器の使用を禁止しても、リプライザルという法理がある限り、完全な 禁止にはつながらない。オバマ大統領が核のない世界の実現に向けて決意表明し、日本はそれを大歓迎したが、国際法が冷徹に示しているのは、核のない世界の 実現は絶望的なほど難しいということだ。このように、美しい言葉で核を消し去ることは出来ないのが現実だ。但し、軍縮は出来る。それでも、事実から目を逸 らさなければ、軍事的脅威の実態が何ら変わらないことも見えてくる。戦時法規と軍縮の相違を認識すれば、そのことは明確だと色摩氏が語る。
「戦時法規は戦争が始まってから適用される法です。他方、軍縮は平時における政治的取引です。これは戦争が始まれば自動的に消滅します。国防の責任 者たる政治家や官僚はこのことをきちんとわきまえておかなければなりません。たとえば、核兵器の使用を禁止しても、戦いになれば毒ガスの場合と同様にリプ ライザルの法理が作用する。加えて軍縮に関する政治的合意も或いは法規制も、消滅します」
折しも1月5日、中国人民解放軍戦略核ミサイル部隊「第2砲兵部隊」が内部文書で、場合によっては「核先制使用も検討する」との軍事理論を部隊に周 知していることが報じられた。内部文書は「核先制使用」の検討を「敵国が原子力発電所や首都を含む重要都市を攻撃すると威嚇したり、戦局が極めて不利とな り国家存続の危機に直面した場合」と規定している(「産経新聞」1月6日)。

やはり自国の軍事力

中国外務省はすぐさま、「中国はいかなる状況下でも核兵器を先制使用しないと厳粛に約束し、 順守している」と従来の立場を繰り返した。中国は核実験に初成功した1964年以降、「先制不使用」を表明してきたものの、中国の軍事政策は予算も装備も その意図もすべて不透明だ。6年前には中国国防大学の朱成虎少将が「米政府が台湾海峡での武力紛争に介入した場合、核攻撃も辞さない」と発言した。
中国当局が強く否定しても、国際法によって厳密に核の使用を規定しても、中国がこれまでに核を拡散させてきた事実を見れば、危険に満ちたこの世界で、中国と隣接する日本にとって自国を守ることがどれほど困難な課題か、容易に想像出来る。
中国はパキスタンに核を与え、それによってインドをパキスタン問題に縛りつけてきた。インドの国力をパキスタンの核への対応で消耗させ、中国の脅威から目を逸らさせ、さらに海洋進出の力を殺ぐためだと、インドでは分析されている。
中国が仕掛けたこの罠は、英国国防省の研究チーム『開発・概念・ドクトリンセンター』が、「パキスタンと中国の脅威に対する負担ゆえに、インドは世界の大国とはなり得ず、地域大国に終わる可能性がある」と予測したほど効果的である。
中国は国連の核兵器不拡散条約(NPT)の加盟国であるにも拘わらず、核拡散を進めてきた。国際法や条約の限界を他国には当てはめるが、自身はそれに縛られないというのが中国の核戦略である。
色摩氏はもう一点、人類の戦争の形が9・11テロ以来、国家対国家から、国家対非合法武装組織に変化してきた点に、現代の国際法が直面する困難があ ると指摘する。従来の戦時法規を適用することが出来ないにも拘わらず、新しい対処法は未完成だ。混沌とした世界情勢の下で最終的に頼れるのは、やはり自国 の軍事力なのである。

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