オスプレイ配備 着目すべき米軍の即応力強化(6月12日付・読売社説)

オスプレイ配備 着目すべき米軍の即応力強化(6月12日付・読売社説)
安全性だけでなく、在日米軍の即応力の強化にも注目し、冷静に議論することが重要である。
 米軍の新型輸送機「MV22オスプレイ」が沖縄県の普天間飛行場に配備されることについて、沖縄県など関係自治体が反対している。
 オスプレイは、飛行機とヘリコプターの機能を組み合わせた新型機だ。通常は固定翼で飛行し、離着陸時は回転翼を使用する。輸送ヘリCH46に代わって、今夏から24機が順次配備される予定だ。
 自治体は主に、安全性を懸念しているが、誤解も少なくない。
 1990年代の開発段階で事故が相次いだ。今年4月にもモロッコで墜落し、2人が死亡した。
 だが、開発段階の機体の不具合は解消し、米軍の安全基準を満たしており、現在、海兵隊だけで130機以上が世界に配備されている。モロッコの事故も、機体の安全性には問題がないとされる。
 こうした事実関係をしっかり踏まえることが大切だろう。
 そもそも米兵の生命に直結する航空機の安全性に最も注意しているのは、米軍自身のはずだ。
 オスプレイの性能も考慮すべきだ。CH46と比べて、最大速度は約2倍、搭載量は約3倍、行動半径は約4倍となる。航続距離は約3900キロで、朝鮮半島まで飛べるうえ、空中給油も可能だ。
 厳しい北東アジアの安全保障環境において、有事の邦人救出や離島防衛で重要な役割を担おう。
 沖縄配備には自治体の許可や同意は不要だが、安定した運用を続けるには、粘り強く地元の理解を得る政府の努力が欠かせない。
 その意味で、政府が沖縄配備前に山口県の米海兵隊岩国基地に一時駐機し、試験飛行を行う方向で調整しているのは評価できる。岩国市長は態度を保留しているが、政府は説得を続けてほしい。
 疑問なのは、オスプレイの早期配備を容認する森本防衛相に対して、民主党沖縄県連が辞任を求めたことだ。民主党本部は、政権党として、政府任せにせず、県連に翻意を求めるのが筋だろう。
 10日の沖縄県議選では、前回4議席を得た民主党は1議席しか獲得できず、惨敗した。鳩山元首相が普天間問題を迷走させ、地元の信頼を失墜させた影響だろう。
 自民、公明など県政与党も前回同様、過半数を確保できず、仲井真弘多知事は中立・野党系に配慮した県政運営を求められる。
 政府は、米軍基地問題と沖縄振興の両方を着実に進め、地元の信頼回復を図ることが肝要だ。
(2012年6月12日01時16分  読売新聞)
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