小沢政局にスリカエて増税法案を正当化するマスコミの手口


世に倦む日日
2012-06-27 23:30
http://critic5.exblog.jp/18499398/

小沢政局にスリカエて増税法案を正当化するマスコミの手口

い わゆる「一体改革」8法案については、マスコミの場で中身が政策討論され、国民が聞いて考える機会というのは、今回、全くと言っていいほどなかった。その 政策がどのようなものであるか、具体的なポイントは、共産・きづな・社民・みんなの4党によって行われた、本会議採決前の反対討論によって輪郭を知ること ができる。社民党の反論は、Webに重野安正の談話が 載っている。増税についても、社会保障についても、修正案は自公の要求を受け入れて大幅に政府案から後退し、増税については、富裕層の所得税や相続税の課 税強化は削除された。パートなど短時間労働者の厚生年金・健康保険適用も縮小され、また、社会保障制度改革推進法案には、自助と家族の助け合いが前面に出 ている。日弁連からは、国による生存権保障と社会保障の理念を否定する改悪だと批判する会長声明が 上がった。この「一体改革」は、現役世代の負担軽減が売り文句で、マスコミでは常にその枕詞と共に説明されるが、昨夜の報ステで紹介されていたように、年 少扶養控除の廃止と成年扶養控除の縮小、子ども手当の減額、健康保険や厚生年金保険料の引き上げ、さらに復興特別所得税があり、言葉とは裏腹に、子どもを 育てている世代の負担は増えている。ネットでは、6月の給与明細で住民税が上がったのを見て動揺する声が上がった。

と ころが、NHKを中心としたマスコミは、各法案の説明については簡略な図表で済ませていて、その情報は、政府の法案趣旨を要約した文言を並べただけだ。い かにも国民のために利益提供を増やしてやったように見せる巧妙な表現になっている。少し前であれば、特にこれだけの重要法案なら、例えば田原総一朗の番組 などで、法案の賛成派と反対派に分かれ、喧々諤々の論争をやっていたものだし、それが必要なものである。消費税増税に反対する世論が賛成を上回っている現 状においては、マスコミは視聴者のために、「一体改革」について賛成と反対に分かれて討論をさせ、その中で、中身の理解を深めさせることをしなくてはいけ ないはずだ。マスコミの立場からの法案の説明とは、そういうディベートの情報提供であろう。たとえ、そのとき田原総一朗が露骨に賛成派に与し、反対派の論 客の発言を強引に封殺する妨害行為に及んだとしても、そうした過程を通じて、「一体改革」法案の全体像と問題点がどのようなものか視聴者によく伝わるに違 いない。今回、そのような機会が一切ないことに気づく。「一体改革」関連法案について、反対の論者が賛成の論者に反論をしている場面をテレビで見たことが ない。反対の論者という具体像が一人もいない。それどころか、賛成の論者というのも思い浮かばないのだ。郵政改革のときのような議論になっていない。

6 月に入って3党の密室協議が始まってから、マスコミは3党合意と「一体改革」法案をめぐる政治報道に集中している。ところが、その中身は、8本の法案を検 討し、政策の当否を論じつつ整理するものではなかった。小沢派が出て行くかとか、輿石東がどうするかとか、何人が造反するかとか、小沢一郎の新党はどうな るかとか、解散はいつかだとか、そういう政局話ばかりで埋め尽くされている。「一体改革」法案の政治報道は、小沢政局だけしかなく、テレビに出ずっぱり だった論者は、後藤謙次と伊藤淳夫の政局屋だった。税制や社会保障の専門家が登場する場面はなく、エコノミストが見解を述べる出番もなく、ひたすら後藤謙 次と伊藤淳夫がキャスターと一緒になって小沢叩きに血道を上げていただけだ。眼前の政治対立は小沢一郎をめぐる抗争劇として戯画化され、悪と正義の戦いに 単純化され、悪の小沢一郎が民主党と自民党の連合軍に成敗される物語になった。そして、政策の対立については、悪の小沢一郎に反対の立場を収斂させること で、増税法案への反対論を異端処理したのである。多数であり正論であるはずの増税反対の国民の声は、小沢一郎という悪のシンボルと接着させられ、小沢一郎 の表象に包含されることで、公論としての立場的正当性を挫かれ、有意味な主張としてマスコミ空間で扱われることがなかった。キャスターもコメンテーター も、全員が増税法案を肯定する立場なのだ。

「一 体改革」法案の政治のマスコミの説明は、次のようなものだ。確かに国民には痛みもあるのだが、将来世代に借金を先送りしてはならず、社会保障のために我慢 をしなければならない。それを野田佳彦が言い、大越健介が説教口調で重ねて強調する。社会保障のため、将来世代のため、財政健全化のため、国際公約の履行 のため、決められない政治から脱却するため、だと。このとき、構図化されているのは、野田佳彦と大越健介の説く増税必要論が、国家を大所高所から見た普遍 的で大局的な正論であり、一方、増税反対論は私利私欲にとらわれた視野狭窄な大衆の欲望や感情のレベルの主張だとする前提だ。増税反対論は、庶民大衆の卑 しいエゴとして矮小化され、倫理的不当性が押しつけられている。NHKは実に巧妙に、増税反対論については、小さな薄汚れた町工場の人間を困惑顔で出し、 「増税が必要なのは分かっているが」などと不満を言わせ、「理屈と感情」という図式に仕立てる。いかにも大衆自身がその倫理的不当性を自覚しているように 見せる。つまり、増税に反対する者も、増税が必要だという認識は共通で、単に生活感のところで苦情として増税反対を言っているのだという演出である。増税 反対を庶民の愚痴にしている。そして、「仕方がない」と諦めて納得させ、泣き寝入りさせるように仕向けている。国家の責任的正論は大越健介の説教にあるの だと。増税反対は無責任な庶民の利己的俗情なのだと。

こ うしたNHKの構図化が成功する要素は二つあり、一つは小沢一郎の悪の政局表象であり、もう一つは岩波左派の「社会保障と消費税」の言説である。この二つ が、政府とNHKによる詐術的で傲岸な、国民を見下した説得工作を支えている。NHKとマスコミは、この政治に対する国民の反応を、「政局にはもう飽き飽 きだ」とか「政局には嫌気がする」という常套句で総括する。これは、具体的には小沢一郎と民主党主流派の抗争を指す。だが、飽き飽きする政局劇をこれでも かと見せているのはマスコミだ。マスコミが作り、マスコミが仕掛けた政局であり、マスコミが主流派に加担して小沢派の掃討戦をやっているのである。本来、 増税法案が国会を通過するかどうかという政治は、国民にとって重大な関心のある問題であるはずだ。しかし、マスコミは、この政治を小沢政局にスリカエて報 道し、国民不在の唾棄すべき抗争劇に偽装し、国民による「飽き飽きした」とか、「国民のことを考えず何をやっているんだ」とかの感想を言わせる。こんなと きだけ被災地の仮設住宅にカメラを入れ、自分たちに都合のいい材料を揃えるため、被災地の避難住民の映像を撮るのだ。こうして、消費税増税の政治は意味が スリカエられ、反対して動く政治家たちは選挙目的の政局野獣にされてしまった。前原誠司が小沢一郎に投げつけた「選挙のことを考えている」という言葉は、 小沢派に打撃を与える目的の作為的な政治語なのだが、マスコミはこの言葉を普遍的な正論に化粧した。

伊 藤淳夫や後藤謙次や大越健介は、小沢派の動きを説明するとき、「次の選挙で反増税と脱原発を政策に掲げれば票が取れるだろうと思って」と蔑んで言い、小沢 派の思惑を一方的に決めつけて解説し、それを不当視して国民に要警戒を言う。こうすることによって、実は、小沢派だけでなく、小沢派のパッケージに包まれ た消費税増税反対や再稼働反対の政策まで、ダーティなイメージが塗りつけられ、無意味化と無価値化の貶め工作が行われているのである。包装の否定による中 身の否定。国民に向かって、脱原発などというのは小沢派が票目的で掲げる政策だから、そんな素性の悪いものに賛同するなというメッセージを放っているので あり、民自公の原発推進策が正しい政策だと宣伝している。脱原発を貶めている。このことで不安になるのは、世論調査で影響が出ないかということだ。小沢一 郎や東祥三は脱原発とは無縁の人間で、彼らから再稼働反対の言葉が出れば、これはまさしく票目的の政局語になり、そうとしか国民には受け取められず、マス コミが政治宣伝に逆利用する好餌になってしまう。現在のところ、①自民、②民主、③維新、④小沢の四択の中で、消費税反対と再稼働反対を掲げそうなのは、 唯一、小沢新党だけだ。小沢新党が公共空間で異端化されることで、再稼働反対や増税反対が悪性化され、選挙の争点にならなくなる、あるいは、争点になった としても支持が広がらない可能性が出る。マスコミは世論調査を狡猾に駆使するだろう。

「小 沢氏の行動を支持しますか」などの設問を入れ、国民の小沢派へのアパシーを扇動しながら、消費増税反対と再稼働反対の政策を卑小化する策に出るはずだ。さ て、もう一つの岩波左派の「社会保障と消費税」の言説だが、これがあるために、消費税増税反対は、まともな政策理論としてマスコミ空間で市民権を得られ ず、大衆の俗情や愚痴に貶められてしまうのである。つまり、消費税増税に反対するオーソライズされた政策論がなく、マスコミで堂々と反論が立つ柱がないの だ。現状、消費税増税への反対の立場は、民主党がそれを3年前の選挙で公約しなかったから、国民への裏切りだからという論点のみが正当性の根拠になってい る。だから、その主張は専門家や論者ではなく、政治家の口からしか出ない。本当は、増税反対論は経済政策の範疇であり、増税すれば税収が減って財政が逆に 悪化するとか、社会保障とは無関係だとか、そうした積極的な論点があるはずなのである。政策論争がされるべきなのだ。それがなく、大衆の感情や愚痴のレベ ルに始末されてしまう理由は、本来、消費税増税反対で理論を立てるべき左派がそれをせず、逆に消費税増税が社会保障に必要だという立場で論陣を張っている からに他ならない。湯浅誠、宮本太郞、山口二郎、神野直彦。左派である彼らが、小沢一郎ではなく野田佳彦の応援団だからだ。岩波左派の福祉国家のドグマ ティズムと、官僚によるその狡知な政治利用が、増税反対論を正規な政策論に確立させない。公論になることを阻ませる。

増税反対は理論なき俗情なのだ。つまり、左派が増税反対の政治を扼殺している。

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http://ajimura.blog39.fc2.com/blog-entry-2309.html
以下引用

毎日新聞 2012年06月26日 18時00分
消費増税法案:衆院通過 民主反対57人
 消費増税を柱とする税と社会保障の一体改革関連8法案は26日午後の衆院本会議で、民主、自民、公明3党と国民新党、たちあがれ日本などの賛成多数により可決され、参院に送られた。消費税率を14年4月に8%、15年10月に10%に引き上げる消費増税法案の採決結果は賛成363票、反対96票だった。民主党から小沢一郎元代表や鳩山由紀夫元首相ら57人が反対に回り、欠席・棄権を含む造反者は約70人となった。野田佳彦首相は法案の衆院通過を受けて26日夕、記者会見する。
 元代表は採決後、国会内で開いた小沢グループの会合で「本来の民主党に立ち戻るための努力をこれからもしていきたい」と当面、離党しない考えを示し、結束を呼びかけた。


日経新聞 2012/6/26 16:18
消費増税法案が衆院通過 賛成363票、反対は96票
  消費増税を柱とする社会保障と税の一体改革関連8法案は26日午後の衆院本会議で民主、自民、公明3党などの賛成多数で可決され、衆院を通過した。消費増 税関連法案の採決では、民主党内から小沢一郎元代表や鳩山由紀夫元首相を支持するグループを中心に反対が50人台後半に上った。このほかに欠席した議員も いる。元代表は離党や新党結成を視野に入れており、消費税政局は民主党が事実上分裂する事態に発展した。
 今後は反対票を投じた小沢元代表が民主党を離党し、新党を結成するかどうかが焦点。元代表が新党に踏み切った場合、党内で、同調する議員の規模がどの程度になるのかが今後の政局の行方に影響する。
 一体改革法案は参院での審議が順調に進んだ場合、8月上旬にも成立する見通しだ。衆院通過を受け、野田佳彦首相は本会議後の同日夕に首相官邸で記者会見する。
 本会議で採決した8法案のうち、各議員の賛否が明確に分かる記名投票をしたのは、消費増税法案(国税分)、民主、自民、公明3党が議員立法で提出した社会保障制度改革推進法案、「認定こども園」設置法改正案の3本。年金制度改革関連法案など残りの5法案は起立方式で採決した。
 各議員の賛否が分かる記名投票の採決をした3法案のうち、消費増税法案の賛成は363票、反対は96票(投票総数459)だった。社会保障制度改革推進法案は賛成378票、反対84票(投票総数462)、「認定こども園」設置法改正案は賛成377票、反対85票(投票総数462)だった。
 本会議での採決で、民主党で消費増税法案に反対したのは小沢元代表や鳩山元首相ら。羽田孜元首相、石関貴史氏、横山北斗氏の3人は欠席した。自民党では中川秀直元幹事長が欠席した。無所属では与謝野馨元官房長官、鳩山邦夫元総務相が欠席した。
 元代表を支持する議員で消費増税法案に反対した議員は残る7法案もすべて反対したとみられる。元代表は本会議での採決後にグループ会合を開き、離党や新党構想などの今後の政治行動についての見解を表明する。
  本会議前には、造反を前提に政務三役や党役職を辞任する動きが相次いだ。小沢元代表に近い福田昭夫総務政務官は同日午前、首相官邸で藤村修官房長官に政務 官の辞表を提出。鳩山元首相も電話で輿石東幹事長に党最高顧問を辞任する考えを伝え、了承された。鳩山氏に近い松野頼久氏は衆院議院運営委員会筆頭理事の 辞表を民主党執行部に出した。
 民主党執行部は午後の衆院本会議の議事進行係を、増税反対派の太田和美氏から賛成派の鷲尾英一郎氏に差し替えた。
 反対後に民主党から離党する衆院議員が54人以上に達すれば少数与党に転落し、野党が提出する内閣不信任決議案を与党だけで否決できなくなる。輿石氏ら党執行部は党の分裂回避のため造反議員への処分先送りを探っている。

日刊ゲンダイ 2012年6月26日 掲載
増税法衆院通過 反対57 棄権欠席19
<小沢新党結成へ>
 民主、自民、公明の翼賛3派の圧倒的多数の賛成で、消費増税法案が 26日午後、衆院を通過した。国会周辺で大規模デモが起きるでもなく、衆院本会議場の採決も混乱なく進んだ。全くどうしようもない国だが、そんな中で唯一 注目されてきたのが、民主党内の造反者の数。国民生活をどん底に突き落とす消費増税問題が、議員の頭数と造反ショーだけに矮小化されるのは間違いだし、そ こに財務省と大マスコミの悪辣さが表れているが、結局、増税法案に対する造反者は76人だった。
 予定通り、26日午後1時から始まった本会議。各党の「賛成」「反対」の討論の後、「一体改革」法案のうち5法案の起立採決をはさみながら、社会保障制度改革案、こども園法改正案に対する記名投票に移った。問題の消費増税法案の記名投票は、午後3時過ぎに始まった。
  これに先立って小沢グループは議員会館の会議室に集まり、結束して反対することを確認。その通りにグループの議員が次々と青票を投じた。鳩山元首相も約束 通り、反対票を投じ、鳩山グループの松野頼久議員や川内博史議員などが続いた。中間派では1年生の福島伸享議員や福田衣里子議員も反対で、大きな拍手が起 きた。
 反対票は計57票。欠席・棄権が羽田孜元首相、福田昭夫総務政務官など19人だった。
 予想通りとはいえ、造反者が「54人」を 超える大量になったことで、野田執行部は処分を断念せざるを得なくなっている。しかし、小沢グループは本会議終了後に再び集まり、そこで「新党結成」を話 し合う。それとは別に、鳩山グループも新党旗揚げの準備に入り、中間派議員の受け皿にする構想が浮上している。そうなれば民主党は3分裂。政界再編が事実 上スタートすることになる。

NHK 6月26日 18時18分
小沢氏会見“信念のもとで反対”
 民主党の小沢元代表は、 みずからに近い議員との会合のあと、記者団に対し、「年金医療についても、われわれの改革案を掲げて、政権交代を実現した。一切、棚上げして消費増税だけ を先行すると、これは私どもの国民が決して納得しない。許さない行為だ。そういう信念のもとで本会議で反対の意思表示をした」と述べました。
 そのうえで小沢氏は、「今まで同じ思いで行動をとった多くの仲間とと共に、私たちの意思表示を明確にできたことは大変よかったと思っている。われわれは参議院の審議を通じても、国民の気持ちに対して何とか消費増税を阻止できるような努力をしたい」と述べました。
  そして小沢氏は、今後の対応について「野田総理大臣が政治生命を懸けると言っていた。法案は衆議院を通った。それに反対したということなので、それなり に、今後対応をしていかなければならない。今までベストの策は、民主党が国民に訴えた原点に返ること、初心を思い出すことだと申し上げてきた。消費増税が 強行されたことによって、最善の策をとる可能性は非常に小さくなってしまいましたが、なお最後の努力をして、原点、本来の民主党の在り方に変えるというこ とを、政府、あるいは党執行部に対し主張していく」と述べました。
 一方で小沢氏は、「総選挙もかなり近いということも予想されるので、いたずら に時間を経過させるわけにいきません。近いうちにどうするかの決断をしなくてはならないだろうと思いますが、きょうはみんなの一任を、私にすべて任せると いうことで了承していただきましたので、みんなの気持ちを胸におきながら、最後の努力をし、最終の結論を出したいと思っている」と述べました。


[ダイヤモンド・オンライン 2012年6月25日
【第280回】原 英次郎 [ダイヤモンド・オンライン編集長]
小沢グループの造反に理あり 理念を掲げて総選挙を実施せよ
http://diamond.jp/articles/-/20611
  社会保障・税一体改革に関する自公民3党の合意を受けて、明日26日にも消費増税関連法案が、衆議院で採決される見通しだ。これに対して、民主党の小沢 (一郎元代表)グループは増税に反対し、離党も辞さない構えだ。今回の消費増税に関しては、小沢氏の行動は筋が通っている。今回の消費増税の引き上げに は、反対せざるをえない。以下にその理由を述べてみたい。
代議制民主主義崩壊の
扉を開く愚行
 最も大きな理由は、明確な民主主義のルール違反である。03年の衆議院選挙以降、各政党が発表するマニフェスト選挙がようやく根付き始め、09年の衆議院選挙では、国民はマニフェストを参考にして民主党に投票し、政権交代を実現させた。
  そのマニフェストでは行政のムダをなくし、財源を組み替えることで、16.8兆円の財源をねん出して、増税は行わないと言っていたはずだ。実際の消費税率 引き上げが、民主党の政権担当期間中より後に行われるから、マニフェスト違反ではないというのは、全く国民を馬鹿にした詭弁としか言いようがない。
  もちろん、情勢の変化でマニフェストがある程度修正されることがあってもよい。が、「増税を行わない」から、消費増税という増税路線へカジを切るのは、基 本方針の大転換である。これを選挙もなしに行うということは、「うそつき」のそしりを免れない。何よりも、次回以降の選挙で、国民は何を根拠にして投票を 行えばいいのか。今回のようなやり方は、代議制民主主義に対する不信と崩壊の扉を開くことになりかねない。
社会保障問題の本質は
本当に理解されているか
  二つ目の理由は、社会保障・税一体改革の問題の本質が、国民1人1人に十分に理解されているとは言えないことだ。日本の社会保障制度は、長い自民党政権下 において、対症療法を重ねてきた結果、非常に複雑な仕組みとなっている。この結果、一部の官僚や専門家しか理解できず、国民はおろか「国会議員でも問題の 本質が分かっていない」(某シンクタンンク専門家)。それこそが、最大の問題点なのだが、ここでは問題の所在を、ごく単純化して整理してみよう。
  社会保障・税一体改革の目的は、財政再建と社会保障制度を、将来にわたって維持可能なものにすることにある。日本の財政は収入(歳入)のうち、半分以上を 国債などの借金で賄うという異常な事態が続いている。政府の国債の借金(債務)残高は、12年末には、日本が1年に生み出す(付加)価値であるGDP(国 内総生産)の2.2倍にも達する見込みで、イタリアの1.3倍、米英仏の約1倍を大きく上回って、先進国中で最悪の状態にある。
 一刻も早く財政 再建に踏み出さないと、いずれギリシャのようにならないとも限らない。財政赤字の最大の要因は、急速に進む高齢化によって、毎年1兆円以上のスピードで増 え続ける社会保障費にある。現在、社会保障制度は給付(支出)と負担(収入)がバランスしていない。したがって、社会保障・税一体改革が必要だということ である。
社会保障問題を
理解する4つのキーワード
 では、なぜ給付と負担がアンバランスになってしまったのか。公的年金(以下、年金)を取り上げて、考えてみる。社会保障制度の中心は年金、医療、介護だが、実は年金が最も大きなウエイトを占めていると同時に、医療や介護も問題の本質が、ほぼ同じだからである。
 年金を理解するキーワードは、「賦課方式」と「積立方式」、それに「社会保険方式」と「税方式」の4つである。
  賦課方式とは、現役の勤労者が払う保険料で高齢世代の年金を払う仕組みで、若い人が高齢世代を養っている。これに対して、積立方式は高齢になり年金を受け 取るときに備えて、保険料を積み立てておく。社会保険方式は、その名が示すように、年金の支払い財源が保険料で、保険料を支払った人だけが、保険金(年 金)を受け取ることができる。これに対して、税方式は年金の財源が税で、一定の基準を満たせば、税を支払ったかどうかに関わりなく年金を受け取れる。
  賦課方式、積立方式とも、それぞれ長所・短所があるが、賦課方式の場合は、人口構成が高齢世代より、常に若い人の方が多いピラミッド型になっていないと、 問題が噴出する。社会保険方式は保険加入者がみなでリスク(年金の場合は長生きのリスク)をカバーし合うもので、対象は加入者で保険料を払った人だけ。負 担と給付の対応関係が明確で、自己責任型ともいえる。
 税方式は、何らかの事情(年金の場合は老齢)で所得がなくなったか、低くなった人に対して、税を財源に所得を補助する。つまり、所得の再配分であり、税を納めているかどうかは関係がない。言い換えれば、保険方式と違い、受益と負担は対応していない。
 現在、日本の公的年金は、賦課方式でかつ社会保険方式である。これが現在の問題を生みだしている根源である。ごく簡単な例で、考えてみよう。
  主に民間のサラリーマンなどが加入する厚生年金の場合、年金受給者は現役時代の給与の約60%の年金を受け取っている。今から約50年前の1965年に は、9.1人の現役世代で1人の高齢者を支えていたので、単純計算すれば60÷9.1=6.6%の保険料率でよいことになる。これに対して、2012年で は現役世代2.4人で一人を支えなくてはならないから、60÷2.4=25%の保険料率になるはずだが、実際は約16%なので、保険料だけでは年金の支給 金額を賄いきれない。その不足分を「国庫負担」という名の税金(国債よる収入かもしれないが)を投入して、補っているという構図だ(実際はもっと複雑。ど のように国庫負担が行われているかは『西沢和彦の「税と社会保障抜本改革」入門』第1回を参照http://diamond.jp/articles/- /14992)。
 こうした構図が二つの問題を引き起こしている。現在の年金受給者も、現役時代には年金保険料を支払っており、一般の保険や貯金 の感覚からすれば、支払ったおカネは年金支払いの原資として積み立てられていると思っていても、何ら不思議ではない(正確に言うと一部は積み立てられてい る)。だから、年金を減額しようとすると激しい反発が起こる。二つ目は、受益と負担の関係が明確な保険方式に、それが明確でない税金を相当金額つぎ込んで しまったということだ。国民からすれば、保険料の引き上げに加えて、なぜ増税まで行われなくてはいけないのか、増税を認めたとして、どんな受益があるのか 理解しづらい。
長期の道筋は示されず
消費増税だけが先行
 賦課方式は現役世代の保険料で高齢世代を養う仕組みだから、収支をバランスさせる方策は、①経済成長率を上げるか、②年金の給付額を減らすか、③保険料をあげるかの三つしかなく、実際にはこれらを組み合わせるしかない。
 第1の論点は、我が国の「名目」成長率をあげることができるのか、できないのかということである。名目成長率が上がれば、税収も増えて増税も少なくてすむし、給与が増えれば保険料の負担感も小さくなる。
 日銀の金融緩和が欧米に比べて小さいため、物価の持続的な下落であるデフレから脱却できず、円高も続くという根強い意見がある。これに対して、国会で徹底した議論が行われたとは言えず、自公民がどのような経済見通し、経済政策を前提としているかが分からない。
 第2の論点は、現状の年金制度について、抜本的な改革が必要なのか、現状の制度を前提にした調整でよいのかが、うやむやにされたということだ(3党合意では社会保障制度改革国民会議で議論するとされている)。
  実は、自公政権下で「100年安心」を謳った2004年の年金改革の柱は、給付金額を抑制し、保険料率に上限を設けるということだった。最終的には、年金 の給付を現役時代の約50%まで引き下げ、保険料率は約18%で頭打ちにするといものだ。だが、2050年に現役世代1.2人で1人の高齢者を支えなくて はならないとすると、保険料だけでは大幅に財源が不足する。自公両党は年金は現行制度を前提に考えるとしているが、保険料が大幅に不足することを考える と、消費税率がどこまで上がるのか、国民には長期的な展望が不明なままだ。
 一方、民主党が掲げていた税財源による最低保障年金と社会保険方式による所得比例年金の導入は、抜本的な改革に近いが、これも消費税引き上げのために棚上げされてしまった。そもそも、長期的な負担と受益の関係すら示されなかった。
  国民が知りたいのは、今後、ますます労働力人口が減り、高齢人口が増える中で、現状の社会保障制度のままでよいのか、それとも抜本的な改革が必要なのか、 それぞれの場合に、長期的な負担と受給の関係はどうなるのかということだ。結局、その道筋は示されることなく、消費増税だけが先行されようとしている。し かも消費税の使途が社会保障に限定されたために、社会保障が赤字だから、大切な社会保障を維持するために、という理由でいくらでも増税が可能になりかねな い道を切り開いてしまった。
 社会保障と税のあり方は、国のかたちでもある。自己責任を重視し、格差を受け入れるのか。格差を小さくするために、 再配分を重視する社会を目指すのか。まずは、その理念が求められる。理念が明確にならなければ、4つのキーワードを組み合わせて政策を練り上げることがで きない。
 理念と政策を同じくするものが結集しない政党は、結局のところ分裂せざるを得ないことを、今回の民主党の内紛が如実に示した。今こそ、 理念と政策という旗の下に、志を同じくする政治家同士が集まり、国民に信を問う。それこそが民主主義の筋というものだ。今回、消費増税が実現したとして も、国民の信頼を失った政党・政治家が、さらなる国民負担を求めることに国民は納得しないだろう。
 小沢一郎氏も「増税はやるべきことをやってから」一辺倒ではなく、やるべきことをやっただけで問題が解決するのかどうか、その先の長期的な展望をも示すべきである。
(ダイヤモンド・オンライン編集長 原 英次郎)



社会保障・税一体改革関連法案の衆議院通過に当たって(談話)
社会民主党幹事長 重野安正
2012年6月26日
http://www5.sdp.or.jp/comment/2012/dannwa120626.htm

1. 本日の衆議院本会議で、社民党をはじめとする各党が反対する中、社会保障・税一体改革関連8法案が通過した。民自公3党が密室で修正協議を進め、他の野党 への十分な説明もなく分析するいとまも与えられず、わずかな時間の審議で採決を推し進めようとしていることは、議会制民主主義の自殺行為であり断じて許さ れざるものではない。100時間かけて審議してきた政府案の内容を会期末近くに大幅修正し、さらに新法を提出するのであれば、一旦法案を廃案にし国会を閉 じて改めて3党で出し直し、十分な審議時間を取るべきであり、国会を空洞化させ、立法府を破壊する行為に強く抗議する。

2.もともと野田 政権が進める「社会保障・税一体改革」は、社会保障の負担増・給付減と消費税増税の一体改悪を狙ったバラバラ改革、つまみ食い改革であり、「薄皮の社会保 障、中身は消費税増税たっぷりの毒饅頭」とも揶揄されてきた。社会保障改革の全体像も、不公平税制是正の抜本改革もないままに、庶民と中小零細企業に負担 を押し付ける消費増税を先行させることは断じて許されない。デフレ下で賃金も上がらず、中小企業は値引きを強いられている中で、消費税率を上げることは生 活や経済を破壊し、被災地の復興にも困難を強いることになる。民主党が作ると言っていた下請けいじめ防止法や公契約法もない。一方で、年少扶養控除の廃止 と成年扶養控除の縮小、健康保険や厚生年金保険料の引き上げ、来年一月からの復興特別所得税など、負担増のメニューはメジロ押しである。この折に、額にし て13.5兆円という戦後最大級の増税をすれば、国民生活や家計が破壊されることは火を見るより明らかである。インボイスの導入もなく、逆進性対策もはっ きりしないうえ、輸出大企業は輸出戻し税で還付の一方、中小企業は転嫁対策が十分でないなど、消費税の欠陥是正もない。今やるべきことはデフレ対策と生活 再建であり、非正規雇用の割合を減らし、安定した質の高い雇用を増やす強力な政策の推進である。

3.今回の修正案に至っては、バラバラ改 革にも値しない、ダマシ討ち・談合増税法案である。高年金者の年金額調整の規定を削除し、パートなど短時間労働者の厚生年金・健康保険適用も縮小、幼稚園 と保育所を一体化させた「総合こども園」も撤回するなど、社会保障分野の先送り・撤回・後退が相次ぎ、また税制の抜本改革についても、課税所得5000万 円超の所得税の最高税率引上げ規定や資産課税の改正規定が削除・先送りされ、最後の薄皮も剥がされ消費税増税だけが残る結果となってしまった。結局、社会 保障の充実のために消費税増税もやむなしという国民の期待は裏切られ、社会保障はダシに使われただけで、一体改革の出発点となったビジョンをまとめた検討 会の座長が言われる通り、「改革は矮小化」され、単なる「増税の口実」になってしまった。

4.そして、税制法案では「支え合う社会の回 復」という文言が削除され、民自公3党が唐突に提出した社会保障制度改革推進法案では、「自助」・「家族」が前面に出て、社会の支え合いではなく、自立を 家族相互、国民相互の助け合いの仕組みを通じて支援するという大きな理念の転換が盛り込まれた。そして、社会保障の機能の充実と給付の重点化、制度運営の 効率化、介護サービスの効率化および重点化、医療保険制度の適正化に加え、附則に最後のセーフティネットである生活保護制度の厳格化が盛り込まれるなど、 社会保障サービスカットの法案である。そもそも、夫が終身雇用の正社員、妻が専業主婦というモデルが崩壊しており、介護・子育ての負担を家族だけに押し付 けることにも限界がある。自己責任と家族主義を強調して、経済的・社会的ゆがみを放置してはならない。貧困・格差を解消することこそが政治に求められてい ることであり、一体改革の根幹だったはずである。

5.さらに、今回の修正で、成長戦略や防災・減災対策にも資金を重点的に配分するとさ れ、公共投資拡大が盛り込まれた。自民党は10年200兆円の国土強靱化を提唱し、公明党も10年100兆円の減災・防災ニューディールを提起しており、 消費税増税で社会保障分の赤字国債が浮くから、その分建設国債の増発では財政再建もまやかしになりかねない。

6.今回の合意では、公的年 金制度および高齢者医療制度については、「社会保障制度改革国民会議」での議論とは別に、あらかじめその内容等について自公民3党で合意に向けて協議する ことになっている。「社会保障制度改革国民会議」の委員20人に特定の政党の国会議員だけが任命されることも合わせて考えれば、事実上の3党大連立にほか ならない。3党で決めるから後は従えばいいといわんばかりの国会の形骸化、民主主義の破壊は認められない。

7.本来の一体改革は、医療崩 壊や待機児童の解消、子どもの貧困の根絶、ワーキングプアの若者やシングルマザーやリストラ・賃金カットに晒されている中高年層への支援、障害者福祉の充 実、高齢者の年金・介護サービスの充実など、人生それぞれのステージに応じて、またどんなリスクに直面しても必ず支えてくれるという社会保障制度への信頼 を築き上げるためのものであるはずである。しかし、今回の一体改革は、財政再建が強調される一方、危機に陥っている社会の持続可能性そのものをさらに悪化 させるものとなってしまっている。現役世代が高齢世代を支える力そのものを強める必要があるにもかかわらず、負担だけが先行し、社会保障の全体像もバラン スも全く見えてこない。

8.2009年の政権交代の原動力は、自公政権の進めてきた、大企業中心・アメリカ依存の構造改革路線からの転換 を求める声であり、鳩山連立政権の三党合意は、税金のムダづかいを一掃し、家計に対する支援を最重点と位置づけ、国民の可処分所得を増やすことを打ち出 し、任期中の消費税率引き上げは行わないとしていた。野田政権が命をかけている消費税率引き上げ自体がマニフェスト違反であり、「国民生活が第一」・「生 活再建」路線からの乖離である。もはや弱肉強食・市場原理至上主義の新自由主義政策を転換し、「政権交代で生活再建!」と約束したマニフェストは投げ捨て られた。「政権交代」のドラマは、今日で完全に終わった。

9.政治生命をかけるべきは、震災からの復興であり、原発事故収束と脱原発の道 筋作りであり、生活再建である。一体改革関連法案は廃案にし、社会保障制度の全体像を示し、税制のあり方について徹底的に国民的な議論をすべきである。国 会内において圧倒的多数で増税にひた走る自公民三党と、消費税率引上げに反対である国民とのねじれが大きくなっている。消費増税のみならず、原発再稼働、 TPP、沖縄・辺野古新基地建設、オスプレイ配備など、対米追随の国民生活破壊にひた走り国民の期待を裏切り続ける野田内閣は即刻退陣すべきである。

10. 社民党は、今後舞台が移る参議院においても、わずかな審議で可決された修正法案の問題点を浮き彫りにし、一体改革のまやかしを追及していく。野田総理は 「命をかける」というのなら、堂々と解散総選挙に踏み切り、国民の信を問うべきである。社民党は、国民の命と暮らしを守るため、野田内閣に対する国会内外 の怒りの声を結集し、解散総選挙に追い込んでいく。

以上


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