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対中戦争のシナリオを描く米国国防総省  古森 義久

対中戦争のシナリオを描く米国国防総省
2012-07-21 23:46:54
テーマ:社会・政治
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/35583


日本にも有事対応の具体策を提言

2012.07.04(水)古森 義久

国のアジア戦略が、中国の軍拡によって戦後、最大の変革を迫られてきたことを前回の報告で伝えた。米国のアジアでの同盟関係も大きく侵食されてきたのだ。では、この危機に米国はどう対応するのか。そしてわが日本はどうなのか。

 オバマ政権も、アジアの軍事情勢の変容への対策はすでに一応は打ち出した。オバマ大統領が2012年1月に国防総省で演説して、アジア重視と特徴づける新政策を公式に発表したのだ。

 ごく簡単に言えば、イラクやアフガニスタンから撤退させた兵力をアジアに向けるという趣旨だった。だが、その理由となるはずの「中国」という国名をまったく挙げなかった。このへんがオバマ政権らしいところだろう。

国防総省が描くのは戦争シナリオそのもの

 ただしオバマ政権も国防総省段階では、2011年11月からもっと具体的なアジア新戦略を描き出していた。「エア・シー・バトル(空・海戦闘)」と呼ばれる新たな戦略だった。

 明らかに中国の軍拡への対応である。だから新たな対中戦略とも呼べるだろう。国防総省にはそのための特別部局も新設された。

 その新戦略は以下の内容を盛り込んでいた。

(1)中国側の新型対艦ミサイルを破壊するための空・海軍共同作戦
(2)中国側「接近阻止」部隊への空・海両軍共同のサイバー攻撃
(3)有人無人の新鋭長距離爆撃機の開発
(4)潜水艦とステルス機の合同作戦
(5)海・空軍と海兵隊合同による中国領内の拠点攻撃
(6)空軍による米海軍基地や艦艇の防御強化、などである。

 文字通りにみれば、戦争シナリオそのものだった。

  国防総省高官たちは、当初は「中国」という国名を挙げないまま解説したが、報道陣の「この戦略の対象となる国は中国以外にあるのか」という質問に、高官の 1人は「ない」ことを認めた。他の高官は「この新戦略は、中国の新鋭攻撃用兵器が南シナ海や黄海の航行の自由を脅かすことへの懸念から生まれ、米側が単に 中国のそうした動きを座視はしないという意思表示だ」とも述べた。

 しかし奇妙なことに、その後、この「空海戦闘」はオバマ政権としての公式な決定とはまだ見なされていないと発表された。中国への配慮のほかに、その種の軍事戦略能力を新たに築くための財政能力が疑問視されるという現実があることもその理由だろう。

 巨額の財政赤字に悩むオバマ政権は、予算管理法という法律で赤字削減を自らに義務づけ、国防総省予算を今後10年で最低4870億ドル削ることになっている。だから空海戦闘でもどこまで予算が取れるか分からないわけだ。

「中国への攻撃能力を向上させよ」とAEIが政策提言

  さて、オバマ政権側がこのような不明瞭な姿勢を続ける中、アジア安全保障政策に関わってきたワシントンの専門家集団がより明確なアジア戦略を提唱した。前 回の報告で紹介したワシントンの大手研究機関「AEI」(アメリカン・エンタープライズ・インスティテュート)の政策提言報告である。

  この報告は「アジアの均衡=米国のアジア軍事戦略の変容」と題されていた。作成者は歴代政権の国防戦略を担当してきたトーマス・マンケン元国防次官補代理 をはじめ、ダン・ブルーメンソール元国防総省中国部長、トーマス・ドナリー元下院軍事委員会首席補佐官ら合計6人の専門家だった。AEIは共和党寄りのシ ンクタンクだが、同報告の作成にあたった専門家たちはみな政権の内部で防衛政策の形成に関わってきた点が共通している。

 この報告は、中国の大軍拡に押され気味の米国が取るべき対策の基本として、「平時には中国との長期間の軍事競合を続け、有事には中国に地域的な戦争での早期の勝利は決して得られないことを認識させる」ことを強調していた。

 そのうえで具体的には、主に以下のような軍事関連手段を取ることを提唱するのだった。

 「米国は、第1にアジアの米軍駐留で従来の空母最重視から水上艦重視へと比重を移し、同時に潜水艦を増強する。アジアの米軍駐留全体のコストを削減する。さらに宇宙利用の軍事能力やサイバー攻撃能力を強化する」

 「第2に、米軍のアジアでの基地の防御を強化する。同時に、日本や韓国など米国の同盟国の部隊も、近代化や戦闘能力増強を促す。米国と同盟国、有志連合国との部隊はF35戦闘機のような共同開発、共同配備の可能な兵器の導入を進める」

 「第3に、米軍は同盟諸国の部隊とともに中国内部の中枢拠点を直接、破壊できる攻撃能力を高める。今は米軍は中国内部攻撃のシナリオをほとんど考えず、その能力も低い。そのため、中国はそれに備える防衛努力をせず、攻撃能力をもっぱら高めることができる」

 この中で特に重要なのは第3の中国への攻撃能力の向上だろう。確かに中国は自国領土奥深くを攻撃される危険がなければ、財政資源をすべて攻撃能力の向上に投入することができる。

 同報告は、米側の中国攻撃能力の向上手段として、潜水艦搭載ミサイルの強化、長距離爆撃機の新配備のほかに中距離ミサイルの再開発、再配備をも提唱していた。中国は中距離ミサイルを大増強しているが、米国は東西冷戦時代のソ連との軍縮によって全廃してしまったのだ。

 同報告は、さらに新戦略として、米国が中国との実際の戦争の可能性を現実的に考え、その戦争が長期にわたることや、米国が同盟諸国と連帯を組んで一体になることを中国側に確信させることが重要だ、とも説いていた。

 米中全面戦争を現実のシナリオとして考えての対応姿勢なのである。「戦いも辞さず」という態度こそが逆に戦いを防ぐという論理だった。

  オバマ政権がこのような新戦略をただちに採用する見通しはないが、今年11月の大統領選挙で共和党のミット・ロムニー候補が当選すれば、ここで紹介した報 告の作成者たちはほとんどが政権入りを期待され、この新戦略も現実の米国政府の政策として採用される可能性も高いのである。

再考を迫られる日本の「集団的自衛権」行使の禁止

 さて、こうした大きな潮流の中での日本の立場はどうなのか。日本には何が求められるのか。同報告は極めて具体的な措置を提唱した。

 すなわち、「日本は西太平洋での抑止力を強化するために以下の措置を取るべきである」という。

(1)国内の基地をミサイル攻撃などに耐えられるように強固にする。

(2)日本国内の飛行場と港湾を米軍と自衛隊が共同で同時に使えるようアクセスを拡大する。

(3)米軍と共同での対潜作戦能力の強化、日本独自の潜水艦戦力の増強を目指す。

(4)南方の諸島に対艦巡航ミサイルを配備する。

(5)オーストラリア、インドとの安保協力を拡大し、韓国との防衛協力を推進する。

(6)武器禁輸3原則の緩和、あるいは解除を進める。

 日本側の政局や世論から見ると、この種の有事対応はそう簡単には実施できないことは自明だと言える。だが米国側が何を求めているかを知っておくことは日本自身の政策立案には必須である。

 安全保障というのは自国と国外との関係に左右される。日本の国内の要因だけを論じる安全保障というのはありえない。安全保障はいつも対外関係なのである。

 こうして米国側のアジア新情勢下の日本への期待を見てくると、日本が集団的自衛権行使の禁止をも再考せざるを得ないことまでが明白となる。その背後には憲法改正への取り組みという、さらに大きな課題までが広がる。

 日本をめぐる安全保障の国際環境は、こうした米国側の動きから見ても、その厳しさが明確となってきたのである。

JB PRESS
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