政策以前に品性で国民から見限られた民主党

政策以前に品性で国民から見限られた民主党
2013.07.29(月)
 佐川 光晴
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/38317

自民党圧勝の参議院選挙から1週間が経った。
 民主党は東京都議会選挙に続いて惨敗を喫し、解党が現実味を帯びるほどの凋落ぶりである。都市型政党として出発しておきながら、東京選挙区では候 補者の一本化に失敗した挙げ句に議席はゼロ、大阪でも議席を獲得できなかった。惨敗のあとにも細野豪志幹事長の辞任、かつて総理を務めた鳩山由紀夫氏、菅 直人氏の処分を巡る騒動などゴタゴタが続き、民主党はもはや政党としての体を成していない。
 橋下徹大阪市長が共同代表を務める「日本維新の会」も、一時期の勢いを完全に失った。昨年の今頃は、各党の党首に大阪詣でをさせて、その気になれ ばいつでも天下を獲れるといった鼻息の荒さだった。ケチの付き始めは「太陽の党」との合併で、東京都知事を辞した石原慎太郎氏とのツートップ体制になって からというもの、橋下徹氏にはパワーも色気も感じられなくなった。
 「いずれボロを出す」「あんなヤツを総理大臣にするほど日本人は馬鹿じゃない」といった橋下氏への罵詈は大阪府知事時代から飛んでいた。しかし、 週刊誌に被差別部落の出身であることを書き立てられてもなお橋下氏の人気は衰えず、四方八方からのバッシングをエネルギーに変えて突き進む姿はヒーローの 資格十分といった様子だった。
 誤解のないように断っておけば、私は橋下徹氏の支持者ではない。「根は臆病者だな」というのが私の見立てで、石原慎太郎氏のこともずっとそう思ってきた。ただし、臆病者は見境をなくすと、何をしでかすか分からない。JBpressのイズメディアモールで小説『日本消滅』を連載したのも、橋下氏に対する警戒感からだった。つまり、先回りをして叩いておかなければと思い込むほど、私は橋下氏の行動力を驚異に感じていたのである。
 それが杞憂だとはっきり分かったのは、沖縄に駐留している米軍に風俗の利用を勧めた発言によってだった。第2次世界大戦の戦勝国(=国連)がつく り上げた現在の国際秩序を覆すために、どれほどの準備と覚悟が必要なのかも分からない輩が一国の宰相を務められるはずがないからだ。
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 それにしても、「日本維新の会」の政権放送は酷かった。視聴者から見て左側に橋下氏、右側に石原氏が座っている。2人は互いに向き合い、自分たちの主張を訴えるべき有権者を一顧だにせず、仲間褒めを繰り返すばかりなのだ。
 たしかに、他の政党の党首たちのようにカメラ目線で話すのも芸がない。しかし、こちらに横顔しか見せない橋下氏と石原氏の振る舞いは、あまりにも 異様だった。事前に政権放送のプランを知っていた関係者で、それでは駄目だと忠告した人はいなかったのだろうか。あの2人では、誰の諫言であろうと聞き入 れるはずもないが、誰がどう見たって、あれでは票を減らすことにしかならない。
 石原慎太郎氏は、橋下氏が沖縄の米軍に風俗を利用するように勧めた発言を知って、「あいつも終わったな」と吐き捨てたという。私は自分の人生を顧 みて、「あいつも終わったな」と友人・知人に何度も噂されたに違いないと思っている。それに、人は時に思いがけない成長を遂げることがあると信じてもい る。だから、橋下氏と石原氏について、「あいつらも終わったな」と断言するのは差し控えたい。ただ、「今のままじゃあ、どうにもならないぞ」とは言ってお きたいと思う。
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 私は48歳になるが、これまで候補者の街頭演説を聴いたことがなかった。ところが、今回の参院選ではその場に遭遇したので、その時の様子をお伝えしたい。
 時は7月17日、場所は東武東上線の志木駅南口である。私は航空券を予約するために、志木駅構内の旅行会社に出かけた。10時半開店なので、少し早めに家を出て、銀行のATMでお金を下ろしてから、1番に並ぶつもりだった。
 私は我が家から最寄りの志木駅東口駅前に自転車を停めて、駅のコンコースを抜けて南口に向かった。階段を下りていくと、ロータリーに人だかりがし ている。のぼりに「細野豪志」の文字が見えて、「わざわざ幹事長が応援に来るところを見ると、山根隆治(注:埼玉選挙区の民主党候補)にはまだ当選の目が あるのか」と私は思った。
 駅前の銀行に入ってお金を下ろし、自動ドアを出ると演説が始まっていた。前衆議院議員の神風英男(じんぷう・ひでお)氏がマイクを握っていて、細野幹事長の到着は11時だという。それまでに場を盛り上げておこうと、神風氏は隣に立つ山根隆治氏のことを懸命に褒めていた。
 「神風、いいぞ!」と私は胸の内で拍手を送った。同時に、「あんた、政治家には向かないよ」と忠告してもいた。
 2012年秋の衆議院選で、民主党公認候補の神風英男氏は埼玉県第4区に立候補したものの、あえなく落選した。たしか、投票日の2~3日前だった が、志木駅東口前で神風氏がビラを配っていた。現職の衆議院議員だというのに、たった1人で、たすきもかけず、自分の名前さえ言わずにビラを配っていた。
 今だけそうしているのかと思い、私はビラを受け取ったあとでそばにあるオープンカフェの喫茶店に入った。時刻は午前9時半頃で、私は文庫本を読みながら、神風氏の様子を見るともなく見ていた。その後も、氏は自分が神風英男だと名乗ることなく、ビラを配り続けた。
 「民主党の議員だとバレると、有権者に怒鳴られるとでも思っているのかな?」「当選の目はないと諦めて、やる気をなくしているわけだ」「政治家なら、どんな逆風の中でも自分の主張を訴えろよ」
 私は神風氏の消極的な振る舞いに怒りを禁じ得なかった。その一方で、民主党の劣勢が明らかな中、ジタバタせずに1人で落選の時を待つ姿にいくらか好感も抱いた。だからといって、神風氏に投票もしなかったが・・・。
 そんなことがあったので、落選中の身でありながら、党友の山根氏への支持を明るい声で訴える神風氏の優しさに、私は胸を打たれた。と同時に、この 性格ではとても政治家は務まるまいと思わずにいられなかった。ただ、神風氏と共に山根氏を応援してもいいような気はした。しかし、神風氏や細野幹事長によ る応援の甲斐もなく、私が投じた1票の甲斐もなく、山根氏は落選してしまった。
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 我々日本人は、と一括りにして語るのは実に忸怩たる思いがあるのだが、我々日本人は自己の業績を臆面もなく誇る者に不審の念を抱く。また、機を見 るに敏な者よりも、愚直で一徹な者に信頼をおく。もう1つ、相手の非ばかりを言い立てて、平気で相手の面目を潰す者にも怒りを感じる。要するに、いくら主 張の内容が正しくても、それを訴える人が礼儀を心得ていなければ、支持をする気にはなれないのである。
 そうした点から見た時に、民主党のトップたちは実に愚かだった。事業仕分けでの、蓮舫議員のつけ上がった態度は、彼女が女性だからバッシングを受 けたという以上に、その道で何十年も業績を積んできた相手への敬意を著しく欠いていたために、国民から毛嫌いされたのだ。蓮舫氏だけでなく、鳩山・菅・小 沢・前原といった面々の、その場しのぎの虚勢の張り合いにホトホト嫌気が差したからこそ、国民は民主党を見限ったのだと思う。
 参院選の大勝で「ねじれ」を解消した安倍総理は、これまでの低姿勢を貫くだろうか。それとも、謙虚さをかなぐり捨てて、中国や韓国に侮られてたまるかとの一念から強硬路線に舞い戻るのだろうか。
 安倍総理には、是非とも民主党の没落を他山の石としてもらいたい。我々は、国内の問題であれ、他国との間の問題であれ、気短な政治家たちのスタンドプレイにホトホト嫌気が差しているのだ。
 官僚が悪い、ゼネコンが悪いと、民主党は盲目的に連呼した。安倍総理もまた、反原発デモの参加者はタチが悪い、護憲論者は何も分かっていないと決めつけることがある。
 しかし、衆参両院で安定多数を築いたのだから、安倍政権に反対の論陣を張る人々の中から、こちらに靡(なび)く者を増やしていくのが本筋というものだろう。それも脅しや圧力によるのではなく、現実的に物事に対処していく柔軟さによって味方を増やしていってもらいたい。
 私は、かつて一度も自民党の候補者に投票したことがない。今後も、たぶん自民党に投票することはないと思う。その上でこう言うのは誠に勝手なのだ が、安倍晋三氏には是非とも現在の不安定な東アジア情勢を落ち着かせる方向に導いてもらいたい。また、保守本流の政治家とはかくあるべしという器量の大き さを身につけてもらいたい。
 どうせできっこないと、嫌みで言っているのではない。2人の息子を持つ父親として、心からそう願っているのである。

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