安倍総理の安保政策

安倍総理の安保政策
「歴史認識」と「未来志向」

2013年09月24日(Tue)  岡崎研究所
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3166

米アジア太平洋戦略研究センターのホーナン准教授が、8月14日付CNNの論説で、安倍総理が目指す憲法改正による 自衛隊の国防軍化や、憲法解釈変更による集団的自衛権行使容認などの安全保障政策への右傾化批判に対して、こうした政策は全く危険なものではなく、日本を 取り巻く安全保障環境を考えれば当然である、と真正面から反論しつつ、安倍総理の個人的な歴史認識が、新しい安全保障政策の動機を見えなくしてしまう原因 となっている、と指摘しています。
 すなわち、安倍総理は日本を右傾化させるナショナリストで、日本の軍事に関する制約を緩和する政策を追求して、憲法の平和主義を破壊し、第二次大 戦中に日本が侵略したり植民地化した国々を怒らせている、という見方があるが、追求している政策は、軍国主義化に至るようなものではない。
 まず、憲法9条改正と、集団的自衛権の行使を容認するための憲法解釈変更についてだが、これらの変更の結果、平和主義の制約が取り除かれ、日本が 強力な軍隊を持つようになるわけではない。安倍総理は、憲法を改正して、自衛隊を国防軍に名称変更し、国防軍の存在を憲法に明記することによって、法的根 拠を与えることを目指している。戦争、武力による威嚇、武力の行使の放棄は、引き続き憲法に明記されるであろう。
 集団的自衛権についての現行の解釈では、米国は日本を防衛する義務を負うにもかかわらず、日本は米国への攻撃があっても、同盟国たる米国を援ける ことができない。この不平等は、長い間フラストレーションの源泉となってきた。しかし、日本は、解釈変更後も、積極的に攻撃するのではなく反撃すること に、法的には限定されるであろう。
 安倍総理のアジェンダは日本を孤立させるので危険である、との意見は根拠が薄い。中国と韓国以外の、地域の全ての国が、日本が危険な国になってい るとは見ておらず、より緊密な関係を築きたいという安倍総理の願望を歓迎している。有り体に言えば、中国と韓国は、地域の異分子である。日本は、孤立など しておらず、多くの国が、日本を、経済、技術、安全保障におけるパートナーと見ている。
 安倍総理の個人的な歴史認識や歴史観にばかり焦点が当てられ、変化の裏にある動機があまりにも見逃されている。安倍総理は就任以来、自らの歴史認識を表に出さずにいる。戦争と慰安婦問題についての公式な謝罪も維持している。
 日本は、北朝鮮、中国、ロシアといった、危険な隣人に囲まれている。中国による領空及び領海侵犯の回数は、昨年、劇的に増加した。安倍総理がとっ ている行動は、高まる脅威に対する日本の防衛能力を強化しようとする正当な意図から出ている。ただ、安倍総理の歴史に関する個人的信念が原因で、こうした 動機がしばしば見失われてしまっている。
 安倍総理が目指す変化は、日本を軍事大国にしたり、右傾化したりするものではなく、今日のアジアにおいて日本を守るために必要不可欠なものであ る。第二次大戦終結から70年近く経ち、また、安全保障環境が悪化しているにもかかわらず、安倍総理が目指している変化が、日本の大戦略の面から言えば根 本的なものではないのは、印象的である。日本の軍隊は、防衛的であり続けるであろう。悲しむべきは、安倍総理の個人的な歴史観によって、日本の軍隊の復活 という物語が、国際的なニュースの見出しを席巻し続けることである、と論じています。
* * *
 ホーナンは、これまでも東アジアの問題についてバランスの取れた論調を展開してきた人物です。この論説も、安倍総理が目指す安保政策を、日本が置かれている安全保障環境からすれば当然であると擁護するなど、日本にとって有り難い内容です。
 しかし、同時に、安倍総理の歴史認識が、本人が封印しているにもかかわらず、日本の防衛強化にどうしても影を落としてしまう現実も示しています。 そうであれば、安倍総理の歴史認識に焦点が当てられないようにする他はありません。そのためには、未来志向を強調するべきでしょう。日本の防衛強化につい ても、同盟国、友好国とともに自由と民主主義の価値を守る、ということを前面に出すのが良いと思います。また、ホーナンのような日本に好意的な論者が、河 野談話、村山談話の維持を評価していることを考えれば、両者の見直しが今はその時機にないと言ってよいでしょう。
 ただ、国家の大戦略としては、如何なる国家も、自らの歴史と伝統を否定しては生きていけません。靖国の参拝も、慰安婦問題など一時の自虐史観でゆ がめられた過去の歴史の修正も、日本という国家の将来のためには、何時かは必要です。それを何時実施するかは、戦略論ではなく、戦術論の問題です。
 日本が防衛力を増強し、集団的自衛権の行使を認めることは、東アジアの軍事バランスにおいて、中国に不利に働くことは明らかですが、それは、日米 同盟にとって有益であるので、米国もそれに賛成であり、中国には介入する余地がほとんどありません。中国側が有する唯一の手段は、これを日本の右傾化の一 部と捉え、米国内のリベラル的思考に訴えることです。これが、現在中国が実際に行っていることです。
 これに対する対応策は、まず、日米同盟を揺るぎないものとして、米国にとって日本が不可欠であるような関係を作り出すことです。小泉政権下での ブッシュ政権との間の緊密な日米関係は、よい手本となるでしょう。日本の国益としては、まず、集団的自衛権の行使を認め、離島防衛などの態勢を固め、そし てペルシャ湾に至る海上交通路を日米共同で防衛する態勢を作ることが先決です。こうして、安全保障における日米関係を万全なものとすれば、あとは純粋に国 内問題である靖国参拝などは、中韓など一部に不満は残っても、実行しても何の障害もないでしょう。それまでの隠忍自重が必要なだけのことです。

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