米中の国家安全保障利害は衝突する

米中の国家安全保障利害は衝突する
WEDGE 10月22日(火)12時53分配信
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20131022-00010000-wedge-int&pos=1
 米ダートマス大学准教授のジェニファー・リンド(Jennifer Lind)とダリル・プレス(Daryl Press)が、National Interest誌ウェブサイトに9月18日付で掲載された論説で、今後の米中関係は、中国の経済成長が続くことを前提にすると、米国が60年続けてきた 外交路線から外れるか、あるいは中国が極めて弱々しい外交を選択するかというあまりありそうにない場合を除き、米中の国家安全保障利害は衝突する、と論じ ています。

 すなわち、21世紀の国際政治の最大の問題は、米中両国が上手くやっていくかどうかであるが、今後の米中関係は、米中の政策の相互作用により決まる。

 中国は色々な戦略をとりうる。

 極端なケースとして、中国は経済的には強いが軍事的には弱いままで、東アジアの秩序を変えようとしないことが考えられる。この場合、中国は隣国を安心さ せ、米との摩擦を最小化し、国内問題に集中しうる。この「豊かな国、弱い軍」戦略は、世界秩序維持責任は米に任せるという戦略である。

 また、中国は地域大国になる戦略をとりうる。その内、順応戦略では、中国は東アジアで大国になるが、拡張主義にならず、米国を地域から追い出そうとはせ ず、大国として自分や地域での利益を守ることを目指すにとどめる。もっと自己主張的な戦略では、中国は、地域で支配的な国になることを目指す。長期的に中 国はモンロー主義のアジア版を非公式に作り出そうとするであろう。そして、空軍・海軍力を強化し、米国を地域から追い出す外交を行い、米国の同盟網を打破 しようとするであろう。

 第三に、中国はグローバルな政治的、軍事強国になろうとする戦略をとりうる。グローバル戦略は、中国の世界での利益を守る温和なものでもありうるし、もっと現状変革的でもありうる。後者であれば、中国は、国際秩序を変え、米の影響を小さくしようとするだろう。

 米中関係の将来は中国の出方のみにかかっているわけではなく、米国の政策にもよるが、米国は既に確立された大戦略を持っている。

 冷戦後、米国は、「グローバル・リーダーシップ」、「覇権」などと呼ばれる戦略をとってきた。指導力を発揮し、世界的な同盟網で安定を推進するという戦略である。東アジアでは、米国は同盟国に安心を与え、敵を抑止しようとしてきた。

 軍事的にこれを効果的にするために、米はアジアで軍事的優位を保持する必要がある。同盟国は米が必要な時に圧倒的な軍事力を地域に持ってくることを期待 している。しかし太平洋を越えて戦力展開をすることは困難になっている。国防省が中国の接近阻止(A2/AD)戦略を気にしているのはそのためであり、米 軍は、A2/ADに対向するために、エア・シー・バトルを推進している。

 米国の戦略を与件とすると、中国が「豊かな国、弱い軍」という戦略を採用した場合のみ、米中衝突はなくなる。他の戦略を採用した場合、衝突があろう。し かし、中国がおとなしい戦略を採用することはありそうにない。中国のA2/AD戦略や第2列島線防衛論は、少なくとも中国は地域大国であろうとしているこ とを示す。

 米中両国がともに合理的な戦略を採用すれば衝突に至る、というのが基本的な問題である。もちろん中国で経済が失速したり、民主化が起こる可能性もある が、中国経済が引き続き成長する場合、米国が対外戦略を変えるか、あるいは中国が極端におとなしい政策をとらない限り、米中の国家安全保障上の利害は衝突 するだろう、と述べています。

* * *

 論説の指摘は、的を射たものです。米国人の多くがこのような認識に至れば、日米関係の強化につながることになるでしょう。

 米国人は、時として、中国との間で何とか良い関係を作れるのではないかとの幻想や希望的観測にとらわれる傾向がありますが、この論説は、そういう傾向への解毒剤として意味があります。

 中国は富国強兵政策をとっており、軍事的に弱い、戦後日本のようなことを目指してはいません。

 相当の蓋然性で衝突が予見される状況では、平和は、核の惨禍に対する恐怖に加え、勢力均衡の維持を通じてのみ達成されることになります。従って軍事バラ ンスが壊れないように、あるいは壊れていると認識されないように注意していくこと、および同盟関係を一層強固なものとしていくことが肝要です。
岡崎研究所

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