コラム:脱「米国中心主義」のすすめ

コラム:脱「米国中心主義」のすすめ
2013年 10月 19日 11:23 JST
http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPTYE99I00L20131019

By Zachary Karabell
世界経済に 甚大な影響を及ぼすと懸念された米国のデフォルト(債務不履行)は土壇場で回避された。しかし、今回の米政治のドタバタ劇は、過去5年で勢いを増してきた 1つの傾向に一段と拍車をかけることになった。それはつまり、米国中心の世界と決別し、新しく漠然としてはいるが、はっきりと「米国離れ」したグローバル システムに歩を進めるというものだ。
米政治劇には国内外から痛烈な批判が相次いだが、中国国営の新華社は論説で、米ドルへの依存をもうやめにし、「米国の政治混乱」にこれ以上左右されない「米国離れした世界」が必要だと呼びかけた。その少し前には、ロシアのプーチン大統領がニューヨーク・タイムズ紙への寄稿で、米国が自らを例外視する傾向は「極めて危険」だと断じていた。
上記2つの批判が米国の歴史的な「敵対国」によって書かれたものだからと言って、その内容を一蹴していい理由にはならない。確かに、中国やロシアか らの米国批判は、背景に政治的動機があり、国内外の反米主義者受けを狙ったものでもある。しかし、偽善的な敵であっても鋭い洞察力はなきにしもあらずで、 中国とロシアからのメッセージは同じだった。米国は世界の基軸通貨と圧倒的な軍事力を持つ強い国かもしれないが、それは必ずしも、世界のリーダーや世界の 警察であることを意味しないというものだ。
草の根保守運動「ティーパーティー」から中間層まで、多くの米国民は依然として、自分たちの国が世界唯一の超大国であるという耳に心地 良い話が好きだ。もし今回の政治混乱に何か良い面があるとすれば、そうした時代遅れの「超大国論」を白紙に戻すことに、われわれも一歩近づくということだ ろう。
2008年の金融危機は、米国が金融システムや資本主義の運営にはるかに優れているという誤った考えを世界に捨てさせることになった。 欧州連合(EU)には少しの間、デリバティブやモーゲージに熱中する米国人に舌打ちする余裕があったが、それもEU自身が混乱に陥る2010年までのこと だった。
「新興」世界の方が2008年の危機から圧倒的に良い状況で脱したが、それが米国にとってはとりわけ「不都合な真実」となった。米国や 欧州に比べ、1970年代の南米経済危機や1990年代のアジア通貨危機など、過去の地域的危機から厳しい教訓を学んだ国々は、金融危機の余波にも強い耐 久力を見せ、米国に対して批判の声や懐疑的な声を強めるようになった。
米国が自国経済を支えるために超低金利や量的金融緩和政策を採用すると、多くの発展途上国からは、米国が通貨戦争に加担していると非難 の声が上がった。2010年に韓国ソウルで開催された20カ国・地域(G20)首脳会議では、オバマ大統領に向けられたのは、世界最大の経済を率いるリー ダーを称賛する敬意ではなく、経済政策への注文であり、かすかな軽蔑だった。中国の外務次官は米国に対し、「主要通貨発行国の責任と義務を自覚し、責任あ るマクロ経済政策を取るよう」直言した。ドイツのメルケル首相はそれよりは外交的だったものの、緊縮策の緩和を求める米国の呼びかけはきっぱりとはねつけ た。
2011年には、米議会で債務上限問題をめぐるチキンレースが始まった。世界は今回、米国の政治家たちが、自国の名声と世界の金融シス テム両方に与える打撃を忘れ、愚かさと尊大さの中でこう着状態に陥る姿を再び目の当たりにした。2年のうちに2回起きたことで、この問題はお決まりのパ ターンにも見え始めている。
「米国離れ」は、おおむねネガティブなこととして受け止められている。しかし実際には、現在の米国にとっては非常に大きなメリットだ。 なぜなら、雇用創出や経済成長など、急を要する国内問題に全神経を集中できる絶好の機会にもなるからだ。米国にはあまりに多くの未解決問題があり、世界に は非常に多くの新たなダイナミズムが登場している。
もし各国が米国にリーダーシップを期待しなくなれば、世界は分岐点を迎えることになる。中国や中南米、インドやサハラ以南のアフリカなど複数の重心がある世界は、今より安定的な場所となるだろう。われわれはそれを前々から知っていたからこそ、国際連合などの機関をつくっては壊すなど試行錯誤を繰り返してきたのだ。
恐らく今、米国の相対的な強さが失われつつあるため、われわれは真の国際秩序を構築し始めるのだろう。当然そこには難題も待ち受けているが、特定の1つの国への依存度は弱まる。
奇妙に聞こえるかもしれないが、米財政問題は、時の贈り物と言える。世界はあきれて困惑しているが、「米国離れ」した世界で、米国はようやく自国の問題に取り組むことができる。その機会をうまく生かせるかどうか、われわれは見届けなくてはならない。


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