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数多久遠  初めてまともに規定された戦略とドクトリン_新防衛計画大綱等 その1

やはり、数多久遠氏の論文が登場したかとの、感慨が深い。
積極的評価と言う面では、良好な質と量を確保すると言う点で、理解できる。
中共や、メデイアの評価は、暫時置いといて(的外れな評論は不適切)
数多久遠氏の論議に賛成したい。
その1とあるから、続編にも期待したい。

私は、個人的には、中共からの脅威に対処すると言う面が強かったが、
中共メデイアの反応にも、違和感が強かった。
旧日本軍は、海軍と陸軍で個別に戦って破れた。その愚を繰り返すのは、歴史への冒涜であろう。

安全保障に関する、組織改編はここまでやるかと言う状況に至っている。

それにしても、当局者である中共国防部の反応も、意外の感じが否めない。


数多久遠
2013年12月22日 11:32
初めてまともに規定された戦略とドクトリン_新防衛計画大綱等 その1
http://blogos.com/outline/76406/?axis=p:1

国家安全保障戦略、新防衛計画の大綱、及び新中期防衛力整備計画が閣議決定されました。

単なる調達数量だけでなく、戦力造成の考え方を抜本的に変えるなど、事前の予想に違わぬ大きな変革を打ち出してきた3文書です。

文書の影響力(重大性)や分量を考えると、とても1回の記事でレビューできるものではありませんので、何回かに渡って書くことにします。

なお、文書名が長いので、今回のシリーズ記事では、この3文書を、「新大綱等」として記述します。

第1回目は、総評として戦略とドクトリンについて書いてみます。

今回の新大綱等は、いろいろな意味で画期的で、極めて高く評価できる内容だと思います。

画期的な点は次の通りです。
①戦略・ドクトリンを(初めてまともに)明確化したこと。
②冷戦思想から(やっと)脱却したこと。

陸自の海兵隊機能については、一部マスコミは注目していますが、これらの画期的な点に比べれば些末な部分だと思います。(ただし、注目の部分なので、これは別の機会に書きます)

では、早速本題に入ります。

今まで、日本の防衛政策には、戦略と呼ばれるものも、戦略と呼べるものもありませんでした。

しかし、今回、国家安全保障戦略として、始めて戦略と呼べるものが策定されました。

その中でも、重要な点は、どの国との衝突に備えるか明確化し、しかも従来の考え方から大きく変革したことです。

今までも、防衛白書や以前の大綱等で、ロシアの軍事力への懸念、北朝鮮の不安定さへの懸念、中国の軍備増強への懸念などが記述されています。

しかし、これらは、我が国周辺の不安定要素として、懸念を示したに過ぎず、「戦略」として、これらの国との衝突に備える事にした訳ではありません。

言わば、全方位防衛とでも呼ぶべき考え方で書かれており、とても戦略と呼べるものではなかった訳です。

対して、今回の国家安全保障戦略では、北朝鮮と中国に対して備えるべきことは書かれています。

ですが、なんと、ロシアは備えるべき相手(仮想敵)としては記述されていません。

全33ページに及ぶ国家安全保障戦略の中で、ロシアに関する記述は、次に挙げる部分だけです。
東アジア地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中、安全保障及びエネルギー分野を始めあらゆる分野でロシアとの協力を進め、日露関係を全体として高めていくことは、我が国の安全保障を確保する上で極めて重要である。

このような認識の下、アジア太平洋地域の平和と安定に向けて連携していくとともに、最大の懸案である北方領土問題については、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するとの一貫した方針の下、精力的に交渉を行っていく。
つまり、ロシアについては、仮想敵から外した上で、むしろ協力すべき相手として規定し、日本の防衛は、中国と北朝鮮に対して備えると大戦略を規定しました。

今回の新大綱等において、この対ロシア姿勢の変化は非常に重要な事項なはずなのに、マスメディアもブロガーも、ほとんど注目しないのは実に不思議です。
(みんな頭の中では、ロシアとの戦争なんてあり得ないと思っていたためかもしれませんが)

ちなみに、大綱の中でも、ロシアについては、軍の体制・態勢と活動状況について、現状を評論する記述がある他、信頼関係を深めるべきパートナーとして記述されています。
ロシアは、軍改革を進展させ、即応態勢の強化とともに新型装備の導入等を中心とした軍事力の近代化に向けた取組が見られる。また、ロシア軍の活動は、引き続き活発化の傾向にある。
ロシアに関しては、その軍の活動の意図に関する理解を深め、信頼関係の増進を図るため、外務・防衛閣僚協議(「2+2」)を始めとする安全保障対話、ハイレベル交流及び幅広い部隊間交流を推進するとともに、地域の安定に資するべく、共同訓練・演習を深化させる。
また、これに関連する事項として、今まで対ロシア用の戦力として規定されていた北海道の機甲戦力について触れておく必要があるでしょう。

戦車については、3年前に削減が決められた現大綱を更に削り、300両まで削減することが規定されているものの、引き続き、北海道には多数の戦車が残されることになっています。

しかし、これは、ロシアから北海道を防衛するための戦力として置かれるのではなく、訓練を行う上で好都合なため北海道に置き、有事は輸送により機動し、別の場所で戦うべき戦力とされています。
この際、良好な訓練環境を踏まえ、2(2)ウに示す統合輸送能力により迅速に展開・移動させることを前提として、高い練度を維持した機動運用を基本とする作戦基本部隊の半数を北海道に保持する。
この記述を見ても、ロシアに対して、北海道の戦力は、対ロシア用ではないという気を使っていると言えます。

今回、戦車が削減されることに憤激して、ロシアの脅威をアピールしている方もいますが、日本政府の方針とは真っ向異なる主張という事になりますから、今後は、その主張をするのであれば、戦車云々以前に、ロシアが対話の出来る国ではないという事を述べる必要があるでしょう。

過去記事「北方領土問題の解決のためには、国後・択捉を売却すべき」をアップした時にも、反論が多かったですが、やはり安倍政権は、対ロシアでは大きな戦略的転換を図ってきました。

これはまた、冒頭で書いた冷戦思想からの脱却でもあります。

ただし、ロシアに関する新大綱等の記述は、ロシアに対する政治的メッセージ、あるいは安倍政権としての決意という側面もあります。

もし、北方領土問題が解決に向かわず、ロシアとの関係が急激に悪化するような事態になれば、大綱等は再度改正する必要性が出てくるかも知れません。

続いて、ドクトリンについて書きましょう。

ドクトリンの明確化として最も画期的な点は、戦域(前線)を何処に設けるかという戦術的な規定をしたことです。

従来でも、水際撃破など、前線の構築場所について発想が皆無だった訳ではありません。

ですが、陸海空という軍種を越えた、統合された戦域の発想は乏しかったと言えます。

例えば、海のシーレーン防衛はそれらしい言葉ではありますが、空陸には関係のない話でしたし、シーレーンは目的であって、そこを戦場にするという戦域の発想とは、若干異なる概念でした。

しかし、新大綱等では、統合の観点から能力評価を行い、文書をまとめたため、陸海空の垣根を越えた戦域の考え方が明確化されました。

大綱には次の通り記述されています。
島嶼部に対する侵攻を可能な限り洋上において阻止するための統合的な能力を強化するとともに、島嶼への侵攻があった場合に速やかに上陸・奪回・確保するための本格的な水陸両用作戦能力を新たに整備する。
島嶼部等に対する侵攻を可能な限り洋上において阻止し得るよう、地対艦誘導弾部隊を保持する。
もちろん戦域規定の言葉は、これだけに留まらず、海上優勢、航空優勢確保への努力などもこれに当たります。

戦域の規定については、酷い言い方をすれば、従来の大綱等では、統合を前提とした能力評価等を行っていなかったため、陸自は陸上で頑張る、海自は海上で頑張る、空自は空の上で頑張る程度の書き方でした。

それが大きく変り、戦域を洋上に設け、敵を上陸させないというドクトリンを明確化したことは、今回の新大綱等の最大のポイントではないでしょうか。

また、結果として、これによって陸自の役割は、大きく変わっています。

従来の陸自が主たる任務としていた、大規模な陸上兵力を動員した着上陸侵攻のような侵略事態対処は、大綱が想定する期間内には生起する可能性が乏しいとして、前大綱に引き続き、対処すべき事態として規定していません。

そして、そのための戦力は、将来に向けて技術継承するだけとされています。
冷戦期に懸念されていたような主要国間の大規模武力紛争の蓋然性は、引き続き低いものと考えられる
主に冷戦期に想定されていた大規模な陸上兵力を動員した着上陸侵攻のような侵略事態への備えについては、不確実な将来情勢の変化に対応するための最小限の専門的知見や技能の維持・継承に必要な範囲に限り保持することとし、より一層の効率化・合理化を徹底する。
続いて、その他の冷戦思想からの脱却について書いてみましょう。

冷戦思想からの脱却については、先日行われた観閲式において、安倍首相が「防衛力はその存在だけで抑止力になるという従来の発想は完全に捨て去ってもらわねばならない」と述べたことからも、予想された方向性でした。

そのキモは、新大綱等で度々言及されている”グレーゾーンの事態”です。

この言葉は、国家安全保障戦略中で1回、大綱中では7回出てきます。

これは、従来の冷戦思想では、抑止によって、平和か戦争かという0or100の状態を作為できるという考え方でした。

しかし、新大綱等では、0or100ではなく、その間の灰色が存在せざるを得ず、強力な兵器を保持することで抑止力となり、紛争を防止できる訳ではない、従来型抑止戦略が機能しない事態が生起しうると認めたということです。

もっと分かりやすく言えば、平和か全面戦争(核を保持している場合は全面核戦争)という構図ではないという事です。

そのため、大綱や中期防に記述される兵器体系も、敵の強力な戦力を破壊するための強力な兵器を持つのではなく、グレーゾーンで使用される限定的な戦力や兵器に対して備えるためのモノにされようとしています。

また、最近の防衛省の文書等で頻繁に言われる抑止力と対抗するキーワードは実効性ですが、新大綱等では、この方向が更に明確になっています。

新大綱等では、前大綱で規定された動的防衛力を更にモディファイし、統合機動防衛力という概念を打ち出しました。

これは、冷戦思想で軽視されていた輸送や継戦能力を高め、戦場において戦力として強力なだけで、戦場に到達することが困難な装備ではなく、必要な戦場に到達できる戦力を造成しようというモノです。

このコンテクストの中で、戦車は削減され、その代替として機動戦闘車が整備されようとしていますし、今までも再三言われていた弾薬備蓄等の問題も、やっと実効性のある調達に変わる方向です。
必要な弾薬を確保・備蓄するとともに、装備品の維持整備に万全を期すことにより、装備品の可動率の向上等、装備品の運用基盤の充実・強化を図る。
冷戦からの脱却に関しては、ヨーロッパでは、平和の配当として大規模な軍備削減が行われました。

それに対して、日本では北朝鮮や中国という脅威があったため、大幅な戦力削減は行われてきませんでした。

ですが、冷戦が終結したことで、その後の戦争・紛争の形態が変わったにも拘わらず、この脅威があるからという理由で、日本の防衛政策は、冷戦思想から抜け出ることができませんでした。

今回、やっとのことで、この旧態依然とした思想から抜け出した事は、新大綱等において、非常に大きな成果です。

なお、新大綱等について、一部報道で海空重視であると書かれていますが、私は必ずしもそうは思いません。

戦略・ドクトリンの修正・規定により、敵の主力を撃退する役目は海空自が主力とされ、陸自は新たな位置づけに対応するため、トランスフォームが命じられただけです。

何より、陸の人員数は変わっていないのですから。

第1回目は、以上です。


今回の新大綱等により、日本の防衛政策は大きく変革することになります。

そして、その方向性は、非常に評価できる方向です。(一部、眉をしかめざるを得ない内容もありますが)

次回からは、細部のトピック的な部分に注目して行きます。
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