オバマ来日で露見した尖閣の危機

オバマ大統領の来日は、大きなイベントとして評価する。

メデイアの論評も独自性が見えて、興味引かれる。
現実的な政治評価となると、次の韓国での従軍慰安婦発言に見るように、
会談の成果は減殺されてしまって期待効果の減退を招いてしまった。

TPPと日米安全保障条約の確行は依然として両国の議会の承認を必要とする。
しかも、尖閣諸島に適用などとは、当然過ぎて感慨も湧かない。
この米国への不信感除去には何の関係も生じなかったと言う結果のみを評価する。


メデイアの報道は、河野談話の見直し、から、STAP細胞の報道、など、
大仰な割には成果は少ないと考える。

集団的自衛権 をオバマ政権は容認したと言うが、アメリカの国益に寄与する部分を
理解したと言うべきであろう。

日本国の独立維持の為には、更なる軍事力強化と法整備が欠かせないと認識するに至った。
核に対する防備が、議題に上がらなかった点も、残念である。日本国周囲の核保有国への
対応は核保有を抜きにしては、現実的ではない。




記事
数多久遠

2014年04月29日 20:42
オバマ来日で露見した尖閣の危機
http://blogos.com/article/85475/

オバマ大統領の来日により、尖閣に対する安保適用の言質を得た事で、国内世論は一定の安心感を得ました。
メディアも評価していますし、
「オバマ大統領「尖閣は安保対象」明言」(日経新聞14年4月24日)
  オバマ米大統領は首脳会談後の共同記者会見で「日本の施政下にある領土、尖閣諸島を含め、日米安保条約第5条の適用対象になる」と明言した。大統領発言は 日本側の求めに応じたもので、共同声明にも明記する。日米が足並みをそろえて海洋進出を活発にする中国をけん制した格好。
政治家も評価しています。
「大きかったオバマ大統領訪日の成果」(政治家 鈴木けいすけの国政日々雑感)

しかし、私は逆に危機感を抱きました。
オバマの発言内容にではなく、大統領の言質を期待する日本の政治・世論にです。

実際の危機が発生すれば、アメリカがどのような姿勢を取るのかは、非常に大きな問題です。
しかし、軍事同盟は、戦争という”非常”事態に対応するためのものであり、”堅固な同盟関係”という言葉があるように、逆説的ながら、常に堅固ではなくなる可能性を孕んだ関係です。

アメリカが、実際に尖閣危機に参戦あるいは積極関与するか否かは、ひとえにそれがアメリカの国益に合致するかどうかにかかっています。
これは、アメリカが信用できない国だと言っている訳では無く、如何なる国においても同様な事です。
日米安保条約の存在は、もしアメリカが参戦しなかった場合に、日本はもとより、NATO諸国など、アメリカと同盟関係にある国の、アメリカに対する信用が低下するリスクを高めるに過ぎません。(当然ながら、条約には守らなかった場合のペナルティなどありません)

しかし、日本の政治・世論は、大統領の言質を求めました。
不安は理解しますが、こんなアメリカ頼みの姿勢では、逆にアメリカの関与の可能性は遠のきます。

もし、現状の日本の政治・世論のまま尖閣危機に突入し、アメリカの関与を前提として中国と対峙したら、アメリカが日和れば、日本の政治・世論も日和りそうです。
そして、それが見えれば、アメリカは必ず日和るでしょう。
日中間の尖閣危機は、アメリカ(の国益)にとって、間違いなくマイナスだからです。

尖閣危機にアメリカを関与させるためには、関与することがアメリカ(の国益)にとってプラス、もっと正確に言えば、関与しないことよりも、より少ないマイナスで済むようにしないといけません。

現状の政治・世論動向からすれば、アメリカが日和る事が確実に予見できる以上、そのためには、アメリカの関与の如何に関わらず、日本としては断固として尖閣を守るという姿勢を示し続けるしかありません。
日本が断固とした姿勢を維持して初めて、アメリカの信用が問われる事態を強要することができます。

これは、フォークランド紛争の際の図式と同じです。
アメリカは、結果的にイギリスの支援をしていますが、当初のレーガンは、米州共同防衛条約があったこともあり、イギリス支援を明確にすることに及び腰でした。
それに対して、サッチャーがレーガンに「軍事力で国境を書き換えるということを黙認したら、国際社会は混乱に陥る」と発破をかけ、断固として抵抗する意志をしめしたため、イギリス支援を打ち出した、打ち出さざるを得なかった、という経緯があります。

また、主体が異なりますが、日露戦争における高橋是清による戦費調達にも似た図式があります。
「日露戦争の戦費調達秘話」
  高橋是清が英国の銀行家の友人が自邸で催してくれた晩餐会に招かれて出席したときのこと。隣に座ったアメリカ人から「日本兵の士気はどのくらい高いか」と いったことをはじめとして多くの質問を受けます。高橋は一つ一つ丁寧に答えます。すると翌朝、イギリスの銀行家が突然、高橋をホテルに訪ねてきて「前夜の 宴会であなたの隣に座ったアメリカ人の銀行家が、『日本の国債を引き受けよう』と言っている」と言います。
誰かの助けがあれば戦うのではなく、戦う姿勢を示して、初めて助けてくれる(あるいは助けざるを得ない状況に追い込まれる)者が現れます。

ですが、現在の日本の政治・世論は、先ず何よりもオバマの言質を求め、「アメリカが助けてくれるのだったら戦う」という姿勢でしょう。
これでは、アメリカとしては、日本を助けず、紛争が発生しない方が得ですし、中国とすれば、当然それを読んで足下を見ます。

日 本にとって大切な事は、オバマの発言に汲々とするのではなく、「アメリカの関与に関わらず、日本は尖閣を断固として防衛する。もしアメリカが日米同盟を蔑 ろにするなら、アメリカの(同盟国としての)信用は地に落ち、世界中でアメリカの国益に挑戦を受けることになる」ということを、明確に示すことです。

このことは、今回アメリカが、初めて”大統領の発言として”尖閣における安保適用を明言した理由の説明でもあります。
アメリカは、政府高官の発言としては、今までにも何回も、日米安保の適用について言及しています。しかし、大統領の発言としては、慎重に避けてきた節があります。
その大統領に、安保適用を言及させることが出来た理由は、安倍政権のぶれない姿勢です。

今回の発言は、アメリカにとっては非常に重いモノです。
国際法上の安保適用については、今回の発言があったとしても予防線が張られています。
「尖閣諸島:「日米安保第5条適用対象」と「日米安保第5条発動」のスキマ」(海国防衛ジャーナル)
しかし、ほとんど全ての日本人は、こんな細かな条文は関係なしに、大統領の一言で判断するでしょう。
もし、尖閣危機にアメリカが日和れば、日本人はアメリカを嘘つきとし見なし、日米関係は重大な転機を迎えます。
日本人は、その特質として信用を非常に大切にします。その反面、嘘つきについては厳しい目を向けます。
駐日米国大使館が、国務省に正確な報告を送っていることを望みます。

また、余談というか勘ぐりすぎなのかも知れませんが、今回の大統領の言質を求めるマスコミの姿勢は、マスコミによるアメリカの参戦がない場合に、尖閣を放棄させるためのキャンペーンではないかとさえ思えました。

なお、今回の記事と似た分析をしつつ、方向性の全く異なる記事を参考に上げておきます。なかなか興味深いです。
「「中国を武力攻撃するレッドラインはない」明らかになった尖閣を巡るオバマ米大統領の真意」(東洋経済14年4月28日)



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