南シナ海でベトナムに強硬姿勢、中国の狙いは 専門家が分析 2014年05月11日 20:57 発信地:北京/中国


南シナ海でベトナムに強硬姿勢、中国の狙いは 専門家が分析

2014年05月11日 20:57 発信地:北京/中国
http://www.afpbb.com/articles/-/3014632


【5月11日 AFP】中国がベトナムと領有権を争っている南シナ海(South China Sea)の西沙諸島(パラセル諸島、Paracel Islands)近海に石油掘削装置(リグ)を設置したことについて、専門家は政治面や外国面で短期的にどのような代償を払っても法律上の請求権を主張し、実際の海域支配を強めるのが中国の目的という見方を示している。状況が米国の思うつぼになる可能性も指摘されている。

 中国がバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領のアジア歴訪の直後に南シナ海で深海掘削装置を搬入しようとした動きは、11日の東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議を前に船同士の衝突を引き起こした。中国は70隻規模の船舶を現場海域に展開中と報告されている。

 南シナ海をめぐる問題で中国とフィリピンとの緊張も高まっている。フィリピン政府は国連(United Nations)海洋法条約に基づく仲裁手続きを開始したものの、中国政府は近隣諸国・地域との直接交渉を望んでおり、仲裁を断固として拒否している。

 専門家らは、中国政府は国営中国海洋石油(CNOOC)による掘削を長期的な石油探鉱計画の一環と位置付けているものの、今回の件でエネルギー確保は二次的な要素だったという見解を示している。中国はむしろ、いわゆる「主権の徴表(incident of sovereignty)」を今回の動きを通じて改めて示そうとしている様子があり、これは係争海域を中国が支配していると誇示することを狙った大きな戦略の一部だという。

 中国の政治に詳しい香港科技大学(Hong Kong University of Science and Technology、HKUST)のバリー・ソートマン(Barry Sautman)准教授は、「中国政府は南シナ海や東シナ海(East China Sea)の種々の小島について請求権を維持するため、強硬な姿勢を取っているように思える」とコメント。

 ソートマン氏は、「国際法によれば、領土問題を抱えている全ての国家は定期的に何らかの行動を起こし、当該領土に関心を持っていることを表明する必要がある」と語った上で、「これが政治面で中国にプラスになるかどうかは、言うまでもなく別の問題だ」と付け加えた。

 中国政府は、西沙諸島付近で掘削を進めるのは「全く理に適っており、合法的かつ正当」だとして自国の行動を擁護。同諸島は中国が南ベトナム軍(当時)を排除した1974年から中国の実効支配下にあるものの、ベトナム政府は依然として領有権を主張している。


■米国に「挑発的」と判断されるリスク

 ベトナム当局は今月3日以降、同国の巡視艇が中国船から放水されたり、何度も体当たりされたりといった妨害を受け、負傷者が出たと発表。これに対して中国政府は、「破壊的な」ベトナム船から171回も衝突されたと反論した。

 中国とアジア近隣諸国の船舶が海上で小競り合いを展開した事例は、これにとどまらない。中でも日本とは東シナ海の尖閣諸島(Senkaku Islands、中国名:釣魚島、Diaoyu Islands)の領有権をめぐる緊張が続いている。ソートマン准教授によると、日本は中国が1970年代までの長い期間、尖閣諸島に全く関心を示していなかったと主張している。

 中国としては、そのような主張が尖閣以外の場所についても持ち出されることは避けたいだろう。ソートマン氏は「中国は政治の要件と法律の要件の板挟みになっている、と私は考えている」とコメントした。

 ベトナム情勢に詳しいオーストラリア国防大学(Australian Defence Force Academy、ADFA)のカール・セイヤー(Carl Thayer)名誉教授は、中国が今回行動を起こしたタイミングについて、先月のオバマ米大統領のアジア歴訪への報復ではないかとの観測を呼んでいると語った。アジア歴訪では、訪問先の日本、韓国、マレーシア、フィリピンのいずれでも、領有権に関する中国の主張が大きなテーマになった。

 中国の一方的な行動は、昨年11月に東シナ海上空を中心に「防空識別圏(ADIZ)」を設定した時と似ていることから、中国がアジアで「挑発的」な行動を取っているという見方を米国が強めるリスクがある。HKUST中国多国間関係センター(Centre on China's Transnational Relations)のデービッド・ツバイク(David Zweig)所長は、「もし私が米国人なら、『中国の強硬姿勢をあらゆる人に実感させてくれてありがとう』と言うかも知れない」と語った。「この地域の至るところにある緊張状態が、中国が強国になる前に起きていなかったのは明らかだ」


■中国政府が予想していなかった事態

 セイヤー名誉教授は、国境を接する共産主義国家の中国とベトナムの関係の歩みが逆戻りしたことを示したとして、中国の先日の行動は意外感をもって受け止められたと説明する。両国は1979年の中越戦争で短期間交戦したものの、ここ数か月間で関係改善が大きく進んでいた。昨年10月には中国の李克強(Li Keqiang)首相がベトナムの首都ハノイ(Hanoi)を訪問し、両国が2015年までに二国間貿易を600億ドル(約6兆1000億円)規模に拡大する方針を打ち出していた。セイヤー名誉教授は、中国の掘削表明が「青天のへきれき」であり、「予想外かつ挑発的で、違法でさえある」と語った。

 中国が今回ベトナムに強硬な姿勢を示したことについて、シンガポールのS・ラジャラトナム国際研究院(S. Rajaratnam School of International Studies)のリー・ミンジャン(Li Mingjiang)准教授は、習近平(Xi Jinping)国家主席率いる現在の中国指導部が、過去の世代に比べて「高圧的な手法を取る傾向」が強いことを示唆していると指摘。ただベトナム政府の強い対応は、域内の中国に対する態度が硬化していることを物語っており、中国政府はこうした事態を予想していなかったとみられる、と付け加えた。

 リー准教授は「中国に石油掘削装置の移動を迫るため、ベトナムがあれだけの船を派遣するとは(中国は)おそらく計算していなかっただろう」と述べた上で、ベトナム政府は、中国政府に黙認のシグナルを送ることは回避しなければならなかった、と付け加えた。「基本的にベトナムは、強い対応を取らなかった場合の結果に甘んじることはないだろう」(c)AFP/Felicia SONMEZ
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