焦点:集団的自衛権の与党内議論は長期化も、南シナ海想定に現実味


焦点:集団的自衛権の与党内議論は長期化も、南シナ海想定に現実味
2014年 05月 14日 08:19 JST
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPKBN0DT23Z20140513

[東京 14日 ロイター] - 安倍晋三首相の有識者会議が15日に報告書を提出し、集団的自衛権の行使容認をめぐる駆け引きが与党内で本格化する。政府は今国会中に憲法解釈の変更を閣議決定したい考えだが、フィリピンが中国に攻撃された場合の日本の対応など、現実味を帯びた事例が論点として浮上する可能性がある。慎重な姿勢を崩さない公明党だけでなく、限定容認でまとまりつつあった自民党でも異論が噴出し、議論は長期化も予想される。
    <報告書で従来方針の大幅転換を明記>
ロイターが入手した首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」による報告書の最終案は、中国の軍備拡大や日米同盟の役割の変化など日本を取り巻く環境の変化に言及したうえで、憲法が認める必要最小限度の自衛権の中に「集団的自衛権の行使も含まれると解すべき」と指摘。
    その上で「必要最小限度の範囲の自衛権の行使には個別的自衛権に加えて集団的自衛権の行使が認められるという判断も、政府が適切な形で新しい解釈を明らかにすることによって可能であり、憲法改正が必要という指摘は当たらない」と提言している。
    この提言内容は、集団的自衛権について、国際法上は権利を有しているものの、憲法が行使を認めていないとの立場を取ってきた日本の歴代政権の見解を大幅に変更することを意味する。    
<公明は依然として慎重>
安倍首相は 報告書の発表後に会見し、政府の立場を説明する予定だ。集団的自衛権の行使を全面的に認めるわけではないことをアピールするため、公海上で日本を防衛する 米艦船が攻撃された場合の自衛艦の対応、日本の海上輸送路(シーレーン)に機雷が敷設された場合の対応など具体的に論点を示し、どのような法整備が必要か 与党に検討を要請する。
だが、平和を党是とする公明党の同意は簡単に得られそうにない。山口那津男代表は4月下旬のロイターとのインタビューで、限定容認論は 「ひとことで言うと、容認するということ。これまで政府が言ってきたことと整合性があるのか」と主張。「集団的自衛権は煎じ詰めれば海外で武力を使うこ と。国のありよう、国民の生き方を変える。慎重に議論する必要がある」と述べている。

 <フィリピンは日本に無関係か>
ちょうどこのタイミングで南シナ海の領有権争いが激化してきたことも、議論の行方に影響を与える可能性がある。西沙諸島では中国の油田掘削をめぐり、ベトナムと中国の船が一触即発のにらみ合いを続けている。南沙諸島では違法操業の疑いのある中国漁船をフィリピンが拿捕(だほ)したことで、緊張が高まっている。
  なかでも日本に近いフィリピンが中国から武力攻撃を受けた場合の対応は、政府が提示する事例に含まれない見込みながら、議論を進めるうちに焦点の1つになる可能性がある。
「フィリピンが中国に攻撃されたら、同盟国の米軍にSOSが行く。その米軍から自衛隊の支援を要請されたら日本はどうするのか、これは議論になると思う」と、自民党幹部は言う。「フィリピンと中国が交戦状態になったときに、日本は無関係と言えるのか。南シナ海の次は東シナ海にも(中国が)来ると主張する人も出てくるだろうし、フィリピンまで行くのはやり過ぎだ言う人も出てくるだろう」と話す。
  自民党はすでに集団的自衛権を限定的に容認する方向で意見の集約が進みつつあったが、こうした現実味を帯びたシナリオを検討する段になれば再び慎重論が強まるかもしれない。
野田聖子総務会長は月刊誌「世界」とのインタビューで「集団的自衛権が行使できる、武力行使ができるとなれば自衛隊は軍になる。軍隊は 殺すことも殺されることもある。 今の日本にどれだけそこに若者を行かせられるのでしょう」と指摘。 「国際情勢という大きな状況と、人を殺す、人が殺されるかもしれないというリアリズムを語るべき」と主張している。
 「集団的自衛権は必要だという大雑把な話は、今の中国の動きをみれば仕方ないとみんな思っている。しかし、具体的な話になると困ってしまう。どう歯止めをかけるのかが重要になってくる」と、前出の自民党幹部は話す。
報告書は集団的自衛権の行使に6つの要件、1)密接な関係にある国が攻撃を受ける、2)放置すれば日本の安全に重大な影響を及ぼす、 3)攻撃を受けた国からの明示的な支援要請がある、4)首相が総合的に判断する、5)国会承認を受ける、6)第三国の領域を通過する場合の当該国の同意を 得る──を課す見込みだ。
しかし、地域は限定せず、対象国も明示しない。そのときどきの政権で解釈で変わる可能性がある。自民党のベテラン議員は「限定容認とは何か、という点が自公の中でこれから議論をして詰めていかなければならないポイントだと思う」と話す。「その議論を乗り切れるのか、やってみないと分からない」と語る。
    <秋までに閣議決定のシナリオも>
政府は今年末までに見直す予定の日米防衛協力の指針(ガイドライン)に集団的自衛権を反映させ、自衛隊と米軍の関係を強化したい意向だ。
実際に自衛隊を動かすには11本程度の法案を秋の臨時国会で成立させなくてはならず、そのためには6月22日の国会会期末か、遅くとも7月までに憲法解釈の変更を閣議決定して行使容認を決めたいと考えている。
ただ、関係者によると、政府は臨時国会前までの閣議決定というシナリオも念頭に置いているという。その場合、10%への消費増税を決断するタイミングとも重なることになる。
報告書は集団的自衛権のほかに、有事か平時か判断がつかない「グレーゾーン」事態への対処や、国連平和維持活動に参加する自衛隊の武器使用基準の緩和などの必要性を提言する。政府は、憲法解釈の変更が必要ないこうした議論を先に進めることも考えている。
(久保信博、リンダ・シーグ 編集:田巻一彦)

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