「事実をして語らしめる」ベトナムとフィリピンの戦い方南シナ海で起きている“三戦”の行方とは

中共や朝鮮に対して、論争は事実を持って行うべきである。
中共が、国内の不安定要因を抱え、言論統制、特に情報統制を強めている。
中共は、検閲に200万人を要して、監視している。鎖国をしている状態である。
日本国の報道も、民主主義国家というには貧弱さを持っている事が知られている。
日本人の主張を中国国内に教えるには、どうしたらよいかと言う難問が見えてくる。


アジア
「事実をして語らしめる」ベトナムとフィリピンの戦い方南シナ海で起きている“三戦”の行方とは

2014.06.18(水)  松本 太
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40985

ベトナムとフィリピンは、この1カ月ほど、中国相手に実に奮闘している。とりわけ筆者がかねて注目しているのは、その戦い方である。
 中国は、法律戦、心理戦、世論戦からなる、いわゆる「三戦」がお家芸のようだが、ベトナムとフィリピンが眼前で展開しているのも、まさに彼らなりの「三戦」なのだ。
 中国が、国際法上根拠のない歴史のロジックをまま主張するのに対して、ベトナムとフィリピンの三戦はずいぶんと性質が違う。
 現代世界では、「事実をして語らしめる」ことほど強力な武器はない。今、軍事力では中国に正面から立ち向かうことができないベトナムとフィリピンは、武器のようなハードなパワーではなく、ありのままの事実を語ることで、その潜在的なソフトなパワーを全開しつつある。
ベトナム政府が記者会見で示した動かぬ事実
 この点で、6月5日午後4時からベトナム政府のゲストハウスで行われた「東海(ベトナムで言う南シナ海のこと)情勢に関する国際プレス会議」と題された記者会見は実に見ものであった。
 そこには、5月初頭より多忙きわめる3人のベトナムの主たる役者が勢揃いした。外務省のレ・ハイ・ビン報道官と、国家国境委員会のチャン・ズイ・ハイ副主任、そしてベトナム海洋警察司令部のゴ・ゴック・トゥ副司令官である。
 3人は、この1カ月程の間に起きた事態を次のように淡々と述べたのである。
・中国が石油掘削装置「海洋石油981」をベトナムの大陸棚と排他的経済水域に不法に設置して以来、1カ月が過ぎた。ベトナムは中国とコミュニケー ションを図るべく、様々な場とレベルで多大な努力を払ってきた。これは、ベトナムの主権と管轄権に違反する中国の全ての行動を停止するように求めるためで ある。
・すでに30回以上にわたって、中国との間でベトナムはコミュニケーションを行ってきた。また、ベトナムの海上法執行船は、中国が石油掘削装置と中国監視船を即時に撤退させるように求めるにあたって、最大の節度を維持してきた。
・これらのベトナムの努力と善意にもかかわらず、中国はその違法行為を継続し、緊張が生じたことに関してベトナムを中傷し、非難するという応酬で応えてきた。
・さらに、中国は、5月27日には石油掘削装置「海洋石油981」を、ベトナムの大陸棚と排他的経済水域内に60海里も入る「北緯15度33分38秒、東経111度34分62秒」という別の場所に移動することによって、緊張を高めたのである。
・中国は、ベトナムの水域に違法に設置された石油掘削装置の周りのエスコート用の艦艇をさらに増大させた。多いときでは、140隻もの中国船が存在した。ミサイル駆逐艦、フリゲート艦、ミサイル艦、対潜哨戒艇、揚陸艦などの様々な軍用艦艇を含むものであった。
・中国の艦艇は、ベトナムの非軍事の法執行船を包囲し、衝突し、放水を行った。この結果、ベトナムの漁業監視官が負傷し、ベトナムの海上法執行巡視 艇が損害を被った。とりわけ、5月26日には、中国公船は、ベトナムの漁船「DNa90152」に衝突し、これを沈没させた。このベトナムの漁船は、中国 の石油掘削装置から17海里離れたベトナムの排他的経済水域で通常の漁業に従事していた。この結果、中国は緊張を一層高めた。
・さらに危険なことには、中国公船は、沈没した漁船の乗組員を助けようとしたベトナムの船を非人道的にも妨害した。6月1日には、中国船は、任務に就いていたベトナムの海上警察の巡視艇「CSB 2016」にも体当たりし、穴を開けた。
・こうした中国の行動は「東海」における緊張をさらに悪化させ、平和と安定と、海洋安全、地域の安全保障に脅威を与え、国際社会に深刻な懸念を呼び起こし、ベトナム人の間に怒りを惹起している。ベトナムは中国の行動に対し、強い抗議をするものである。
 この記者会見では、ベトナムがすでに3度にわたって、ベトナム外務省から中国外務省にあてて、海洋石油981と中国の監視船を撤退させることを旨とする抗議と要求を記した正式な口上書を送付しているが、いまだになしのつぶてであるということも明らかにされた。
軍事力を全面に押し出した中国の対応
 これに続いて、中国の海洋関係機関、すなわち、人民解放軍、法執行機関、漁民、はたまた石油タンカーまでが勢揃いしている様相も詳細に明らかにされている。
・毎日、中国は30~137隻のエスコート公船を繰り出している。これには6種類の軍艦が含まれる。ミサイル駆逐艦(#167、170)、ミサイル フリゲート艦(#523、534、571、572)、ミサイル艇(#752、753)、対潜哨戒艦(#787、789)、掃海艇(#839、840、 842、843)、水陸両用揚陸艦(#989、998、999)である。
・この他に、33~42隻の中国海警局、中国海巡、中国海監、中国漁政の巡視艇や、9~11隻の曳航船、20~22隻の輸送艦、1~3隻の石油タン カー、15~60隻の中国漁船が存在する。ピーク時には、中国は、石油掘削装置を守るために、様々な船からなる137隻を動員した。
・中国は、常に監視用の航空機、ヘリコプター(#8321、3808、3586、9401、B.7112、B.7115)、早期警戒機(KJ200-9421)、監視用航空機TU154をベトナム公船の上空100~1000メートルの空域で活用している。
 記者会見に臨んだベトナム人は淡々と事実を述べただけで、おそらく詳細な軍事的な解説は行わなかったのであろう。道理で日本の主要紙では、この記者会見の意味がほとんど報道されていない。
 このように、中国の活用している艦艇や航空機の全てを残らず、公表してしまうことは中国のオペレーションの実態が明らさまになるわけであり、中国としても不愉快この上ないはずである。
日米同盟に対しては軍事的な挑発ができない?
 それにしても、海洋監視能力がそれほどないベトナムを相手にして、軍艦を含む140隻もの艦艇や、航空機やヘリを繰り出すこと自体、常軌を逸している。
 わたしたちがこれまで見てきた尖閣諸島の近海においては、中国海警局などの海洋保安機関による非軍事的なオペレーションが中心であったことに比べると、今回のベトナム沖での騒動では、中国人民解放軍の様々な艦艇が積極的に活用されている。
 中でも、領海警備に使用される037-IS型哨戒艇が2隻、掃海艇が4隻、「崑崙山」などの最新型の071型揚陸艦が3隻と、これほど多数活用されるのは、まさに南シナ海の島嶼を淡々と狙っている中国人民解放軍の具体的な意図も明示している。
 おまけに「中国版イージス艦」とも言われる、052C型の「旅洋2」クラスの駆逐艦である「蘭州」までが、イージス艦も有しないベトナムとの争いに参加している。ベトナム沖をめぐる中越の対峙は、実に不釣合いなのだ。
 この点で、ベトナム沖における中国のあからさまな軍事的なオペレーションを見るにつけて、日米同盟を盾と矛とする日本に対しては、中国は容易には軍事的な挑発ができないという事実が見事に浮かび上がる。
中国の「キャベツ戦術」とベトナム船への非人道的な対応
 この記者会見では、中国がベトナム沖でも、日本やフィリピンに対して行ったのと同様の「キャベツ戦術」を取っていることが明らかになっている。
・中国のエスコート船は、3つの輪に分かれている。石油掘削装置から1~1.5海里の最も内側の輪には10~15隻の船が、真ん中の輪(掘削装置から4.5~5海里)には40~45隻の船が、最も外側の輪(掘削装置から10~12海里)には25~35隻の船が存在する。
・中国は、ベトナムの船舶を追尾するのに、9~12隻の船を常に活用し、石油掘削装置から10~12海里でベトナム船と衝突し、妨害を行っている。
 「キャベツ戦術」とは、キャベツの皮が何枚もの皮でできているように、中国の利益を守るために、幾層もの守りで固めるといった趣旨なのだ。
 中国の軍艦や法執行船、そして漁民までが統制された形で「キャベツ」の皮になり、大型掘削装置を守っていることは、中国の様々な組織が緊密な統制の下で行動していることを示している。
 さらに興味深いことには、中国船はベトナム漁船に衝突して沈没させるばかりではなく、最先端の方法も活用して、非人道的な対応をベトナム公船に行っていることも、次のように暴露されてしまっている。
・中国の公船は、ベトナム公船が中国海洋石油981の違反に対して抗議しようと近づくと、ベトナム公船に対して、横切ったり、後ろからブロックしたり、横につけ衝突している。
・また、ベトナム公船及びその設備に損害を与えるため放水も行っている。さらには、中国公船は、ベトナム公船のクルーに対して、高周波のソナーシステムや光度の高い光を照射し、クルーの心的・肉体的な健康に害を与えている。
 ここまで中国側の手の内を世論にさらされることは、中国人民解放軍海軍や中国海警局ですら予期しなかっただろう。
フィリピンが展開する世論戦
 一方、フィリピンが行っている最近の世論戦も、実に注目に値する。なにしろ、フィリピン政府は、中国が既成事実化しようとしている南シナ海における実効支配の動きについて、アキノ・フィリピン大統領自らが言及し、その航空写真などを次々と公開し始めたのである。
 5月15日にフィリピン外務省は、中国がスプラトリー諸島近くのジョンソン南礁において2014年2月以降、埋め立て作業を行っていることを示す写真を公表した。中国は、このジョンソン南礁での滑走路の設置を画策しているのではないかと疑われているのである。
 ちなみに、このジョンソン南礁(フィリピン名「マビニ礁」、中国名「赤瓜礁」)は、1988年のいわゆる南沙戦争において中国がベトナムから実効 支配を奪取したいわくつきの場所なのである。この点で、フィリピンの一連の情報公開は、中国に対するベトナムと共闘した世論戦の一矢と言ってもよいだろ う。
 そして、6月5日には、アキノ大統領自らが、スプラトリー諸島において中国が実効支配しているもう2つの岩礁においても、ジョンソン南礁と同様に、何らかの埋め立て工作を行っていると見られることについて明言したのである。
 これらの岩礁は、フィリピンのパラワン島沖にあるガベン礁(中国名・南薫礁)とクアルテロン礁(中国名・華陽礁)の2つである。
 翌日にはさらに、フィリピン政府より、中国が実効支配するもう1つの岩礁であるエルダッド礁(中国名「安達礁」)においても、同様の動きが中国船によって行われていることも暴露されることになった。
 ちなみに中国は、自らが実効支配している南沙諸島の岩礁ほとんど全てに人工の構築物を築いているが、これらの岩礁には滑走路がないのである。これでは、航空監視活動や飛行機による補給活動が十分にできないわけだ。
 この点で、ベトナムや、フィリピン、マレーシア、台湾が、南沙諸島において滑走路を備えた「島」を実効支配していることは、中国から見れば歯痒いことなのであろう。
 何しろ中国が1988年にベトナムから支配を奪った南沙諸島の岩礁は、島というよりも本当に岩礁なのだ。高潮時には、そのほとんどが水面下に沈んでしまう。もちろん、中国が人工的に造った構築物は除いてだが。
フィリピン最高裁判事が語る南シナ海の歴史的真実
 さて、ベトナムとフィリピンからの一連のニュースを追いかけていると、フィリピン外務省の若い友人のゾイロ君からもメールがまた筆者に送られてきた。
 開いてみると、6月6日にフィリピン最高裁のアントニオ・カルピオ判事が、マニラのデラサール大学で行った「西フィリピン海(注:フィリピンでの南シナ海の別称)における歴史的事実、歴史的嘘、歴史的権利」と題する講演の記録をぜひ読んでほしいとある。
 早速読んでみると、カルピオ判事は、中国の南シナ海における九段線に関する歴史的主張に対して、完膚なきまでに論駁している。
 カルピオ判事は冒頭から強いパンチを繰り出す。
 「国際法の下においては、古代における征服をもって、領有権の主張を正当化することはできない。アレキサンダー大王が紀元前334年から323年 にかけて世界の一部を制覇したからといって、(現在の)ギリシャがエジプト、イラン、トルコの領有を主張することはできないのだ」
 「チンギス・ハンやフビライ・ハンが中国を征服したとしても、(現在の)モンゴルは中国の領有権を主張できないだろう。(現在の)イタリアも、 ヨーロッパから中東までを紀元前27年から紀元476年まで征服・支配したローマ帝国の土地の領有権の主張をすることもできないだろう」
 その上で、南シナ海の歴史的事実について、中国の過去の地図や、外国人が描いた地図を示しながら、カルピオ判事は一つずつ明らかにしていく。そして、最後に判事はこう結論づける。
 「明らかに中国の九段線の主張には、歴史的なものも、正当なものも何もない。九段線の主張は、歴史的事実ではなく、歴史的嘘に基づくものである。 中国の公式・非公式の地図に基づけば、960年の宋の時代より清朝の終わりの1912年まで、952年のほぼ1000年近くの間、中国の最南端は海南島で あった」
 「1912年の中華民国の樹立以降は、1912年から1946年まで中国の憲法では中華民国の領域は、清朝のものと同一であることが何度も宣言さ れている。1932年にも、中華民国政府はフランス政府に対する口上書において、中国の最南端の領土は海南島であることを世界に対して認めている。(同口 上書において初めて中国は、西沙諸島が自らの領土であることを明示した)」
 「こうした中国による一方的な宣言は、国際法上、中国をも拘束する」
 「海南島の数百海里離れたスプラトリー諸島やスカボロー礁は、過去の中国の歴史的ないかなる地図にも現されていない」
 「要するに、中国の九段線を正当化するための、いわゆる『歴史的事実』は、中国自らの歴史的地図や、憲法、その他の宣言等に基づけば、実際の歴史的事実と明らかに一致しない。中国はスカボロー礁と歴史的なつながりはない」
 講演記録の行間からは、フィリピン人の感じている怒りが直接伝わってくるかのようだ。
いくらか荒っぽく事実を語ること
 ベトナム政府の記者会見とフィリピンのカルピオ判事の講演記録を目を凝らして読んでいると、昔よく読んだ米国の小説家サリンジャーの小説を想い出した。そう、『フラニーとズーイ』の「ズーイ」の章にある言葉だ。
 「これから示されるいくつかの事実が、おそらく自らを語ってくれるはずだ。しかしその語り口は、通常事実が語る語り口より、更にいくらか荒っぽい ものになるかもしれない(The facts at hand presumably speak for themselves, but a trifle more vulgarly, I suspect, than facts even usually do)」
 (『フラニーとズーイ』サリンジャー著、村上春樹訳、新潮社より)
 確かに、南シナ海においてベトナムとフィリピンが語る、現在と過去の事実は、「いくらか荒っぽい」ものなのかもしれない。しかし、誰しも、赤裸々な「力」の行使を前にすれば、その語り口がいささか「荒っぽく」なることもやむを得ないのではないか。
 南シナ海で起きている事態の行く末を決めるのは、果たして本当に中国による剥き出しの「力」なのであろうか。同時に、ベトナム人とフィリピン人の語る真実は、本当に「力」による侵食を止められるのであろうか。
 南シナ海のゲームの行方は、簡単に言えば、この2つの疑問のすぐ向こうにある。そして、その行方を左右するのは、ひょっとすると、こうした真実に 対するわたしたちの感受性次第かもしれないのだ。そう思うと、南シナ海と東シナ海が、1つの大きなメールストローム(大渦潮)になってグルグルと回り始め た。
(本稿は筆者個人の見解である)

「西フィリピン海(注:フィリピンでの南シナ海の別称)における歴史的事実、歴史的嘘、歴史的権利」と題する講演の記録
フィリピン最高裁のアントニオ・カルピオ判事20140606マニラのデラサール大学で講演
http://www.imoa.ph/imoawebexhibit/The%20Historical%20Facts%20in%20the%20WPSLOW.pdf

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