花田紀凱:自衛隊員の気持ちを弄ぶ大新聞。


自衛隊員の気持ちを弄ぶ大新聞。
花田紀凱 『WiLL』編集長、元『週刊文春』編集長

2015年5月27日 0時49分
http://bylines.news.yahoo.co.jp/hanadakazuyoshi/20150527-00046060/

今、朝日新聞や毎日新聞、東京新聞はしきりに自衛隊員や家族の身を心配してくれている。
たとえば朝日新聞。5月15日社会面で5段抜きの大きな記事。
「自衛官覚悟と戸惑い」「家族『幼い子いる。正直、嫌』」などと見出しを打って、自衛官の母親のこんな言葉を紹介。
「こんなに危険なことをなぜ国民が反対しないのか。自衛官の家族は不安でいっぱいです」
すぐに翌16日の「天声人語」がこれを受けて〈「米国の戦争に巻き込まれることは絶対にあり得ない」と首相は言った。こうも易々と「絶対」という語を用いるものかと、言葉の軽さに驚いた。自衛官や家族はどう聞いただろう。政治家自ら戦うことは「絶対にない」だろうが〉
みごとなタッグマッチだ。
そりゃ誰だって危険な地域には行きたくないし、死にたくないだろう。家族にすればなおさらだ。
しかし自衛隊員たるもの入隊に際し危機に遭遇しても「わが身のことは顧みず」任務を果たすと誓約している。そのくらいの覚悟は出来ているのだ。それでも死にたくない、犬死にしたくないのは人情だろう。
そういう自衛隊員の気持ちを弄ぶような実に卑怯な取材手法であり、記事だ。
かつて若き日の有馬稲子さん(女優)が防大生と歓談、彼らに好意を持ち、「彼らについて考え直した」と発言し、記事になった。
その時、毎日新聞のコラム「憂楽帳」で大江健三郎はこう書いた。
〈あの写真入りの記事が、たとえば農村の青年に与える影響について考えれば、問題はたんに新聞記者のコマーシャリズム意識の是非だけにとどまらない〉
自分も農村、いや山村出身だったはずだが、大江健三郎、 農村の青年をずいぶんと軽く見たものだ。ま、大江らしいと言えば大江らしい。
そしてこう結論づける。
〈ぼくは防衛大学生をぼくらの世代の若い日本人の一つの弱み、一つの恥辱だと思っている〉
書く大江も大江だが、平気でこんなコラムを載せる毎日新聞も毎日新聞だ。そこに防衛大生への慮りなど微塵もない。
そんな大新聞が、今、しきりに自衛隊員の身を心配している。
こういうのをおためごかし、又は御都合主義という。

花田紀凱
『WiLL』編集長、元『週刊文春』編集長
1942年東京生まれ。66年東京外国語大学英米科卒、文藝春秋入社。88年『週刊文春』編集長に就任。6年間の在任中、数々のスクープを ものし、部数を51万部から76万部に伸ばして総合週刊誌のトップに。94年『マルコポーロ』編集長に就任。低迷していた同誌部数を5倍に伸ばしたが、 95年「ナチガス室はなかった」の記事が問題となり辞任、1年後に退社。以後『uno!』『メンズウォーカー』『編集会議』などの編集長を歴任。2004 年11月より『WiLL』編集長。テレビやラジオのコメンテーターとしても活躍。産経新聞コラム「週刊誌ウォッチング」、夕刊フジコラム「天下の暴論」は ファンも多い。好きなものは猫とコスモス。
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